第二話 兄

この俺白蓮寺皇牙は自意識過剰かもしれないが

波瀾万丈な人生を送っていると思う。


中学二年の時両親が事故で亡くなった。

葬式には仲のいい近所の人などが来てくれたが親戚は居ないと聞かされていた為これからどうすれば良いのか分からず葬式で泣きじゃくる麗華の隣で絶望に押しつぶされそうな顔をしていた。


そんな時、母の妹だと名乗る人物が話しかけてきた。いきなり親戚と名乗る人物に始めは警戒していたが話を聞いている内にこの人なら大丈夫だと思った。その証拠に極度の人見知りだった麗華がその人にはすぐに懐いていた。


だから俺はその人を叔母さんと呼ぶことにした。まぁそう呼んだら母が怒った時の様に「叔母さんはやめて…私は斑鳩彩奈よできれば下の名前で呼んでほしいな?」と言われたため『彩ねぇ』と兄妹揃って呼ぶことにした。


彩ねぇの話では母は家の反対を押し切り父と結婚したらしいその為実家からは絶縁状態らしい…だから親族は居ないと言っていたのかとその時思った。


彩ねぇは葬式が終わったあと俺たち兄妹を家まで連れて行ってくれた。

彩ねぇは一人暮らしでフリーランスのシステムエンジニアをしているとのこと、ある程度の額は稼いでる為同居人が増えても問題ないと笑いながらそう言っていた。因みに当時小学生の麗華が「恋人は居ないの?」と質問したら膝から崩れ落ち「い、いません…」と

何故か敬語で答えていた。


それから月日が経ち俺は中学を卒業した。

高校には進学せず働く事に決めていた。そのことで彩ねぇとは少し揉めたが説得し続けなんとか了承を得た。「本当頑固なところは姉さんそっくりね」と微笑みながら言っていた。


そこからは地元にある警備会社にアルバイトとして働き始めた。

その会社は大手の警備会社で要人警護から工事現場の交通整理など幅広くやっている会社だ、最初はアルバイトというのもあって工事現場の交通整理からやるように言われた。


これが意外とキツかった夜間工事もあれば朝からもある。

生活リズムがぐちゃぐちゃになったり、疲れからか食事も昔みたいにいっぱいは食べられなくなった。しかしそれも最初だけ働き始めて1年が経過したら大分慣れてきて平気になった。


勤務態度が良いことから次々と新しい仕事を任される事が多くなってきて先輩達からも良く褒められる事が多くなった。

そして俺の人生の転機が訪れる。


俺は18歳の時に社長から社員にならないかと言われ社員になった。

そのことを彩ねぇに報告すると彩ねぇはブランドのスーツを買ってくれた。麗華からはネクタイを貰った。

仕事ばかりだったが3人で過ごす時間は必ず作っていた。大切な家族なのだから当たり前なのだがな…


社員になって2年が経ち大きな仕事が回ってきた。

イギリス王室の王女が来日すると、その為道路の交通整理などを警察と協力して行うと会議で言われた。こんな大きな仕事は過去にもあったらしく長年いる古参の先輩達は「いつものか」と緊張の素振りも見せなかったその中で俺だけがガチガチに緊張していて先輩達からイジられたのは記憶に新しい。


そして大仕事当日俺は先輩と一緒に王女が通る大通りの封鎖を行っていた。


そして王女が乗った車が近づいて来た。

先輩は「やっと来たか予定の時間と少し違うな」とボソッと言っていた。確かに予定より30分遅れていた。警察の人達がざわついて居たのはこれだったのかと思っていたその時封鎖していたはずの小道から3台の車が突っ込んで来た。


突っ込んで来た車からは覆面を被った男達が降りてきて真っ直ぐ王女が乗る車に走って行った。

その男達の手には銃が握られていた。

俺はそれに気づきいち早く男達に向かい走った。その瞬間先輩が何か言っていたが聞こえなかった。


俺は銃を持つ男達に警棒2本で立ち向かい宮本武蔵ばりの二刀流で戦った。

車から降りたのは全部で12人王女の方は護衛の人達が応戦しており俺は目の前の男達に集中することにした。

一人、また一人と制圧していき王女のもとへと向かった最後の一人を制圧した。俺は大きな声で「大通り制圧完了!先輩まだ犯人の仲間が居ないか警察の方と警戒をお願いします!」と叫んだ先輩は「よっしゃ任せろ!」と言って警官と共に警戒にあたっていた。


その後色々な事後処理を行い王女は無事イギリス大使と国、警察からは感謝状などを貰った。イギリス大使からは「明日大使館に来て下さい」と言われた。

何の用か分からなかったがとりあえず家に帰ることにした。


家に帰ってからが大変だった麗華からは「無事で良かった」と泣きながら抱きつかれ彩ねぇからは説教だった。「てか皇牙!アンタあんな技術どこで身につけたの?」と言われ正直に「母さんから教わった何かあった時に役に立つって言われて」と答えると彩ねぇは額に手を当て「流石は血筋ね…お父さんに知られないといいけど…」と呟いていた何のことかは分からなかったが「なんでもない」と言われ俺は部屋に戻った。


そして次の日言われた通りイギリス大使館に向かった。

最初は入り口にいる守衛に止められ少し睨まれたが中から男性が小走りで来て「お待ちしてました」と中に入ることができ部屋に案内された。

中に居たのはスーツに身を包んだ社長と女性が座っていた。

社長がいた事には少し驚いたがそれよりも驚いたのは座っていた女性が来日していた王女様だったからだ。


王女は「お座り下さい」と片言の日本語で言ってくれて俺は座った。すると直ぐに王女は「ワタシはあなたが欲しい」と笑みを浮かべ真っ直ぐこちらを見つめそう言ったこれがイギリスの王女ヴィクトリア・ヴァーミリオンとの出会い出会った…






「タ…スタ…ミスター?」


「んあ?うぉ!?すみません」


どうやら俺は寝ていたらしい。不安そうな表情をする客室乗務員の方に起こされた。


「いえ大丈夫です。体調が優れませんか?」


何度呼び掛けても反応が無かった為体調が悪いと思われたらしい


「いえ疲れからかそれとも久しぶりの日本に安堵してか眠気が襲って来たみたいです」


「あぁ…良かったです心配しましたよ?そろそろ日本に着きます

着陸準備に入ると思われるので準備をお願いします」


「分かりました。態々ありがとうございます」


「いえ、失礼します。」


すると機内アナウンスで羽田に着陸すると流れた。


そろそろか…久しぶりの日本だな麗華や彩ねぇは元気かな?

そんな緊張の中飛行機は無事に羽田に着陸した。

国際線ターミナルに降り立ち手続きを終え空港から出ると

白いYシャツに黒のスラックスの格好をした彩ねぇが自分の車に寄りかかりこちらに手を振っていた。


「皇牙!!久しぶりね!」


「彩ねぇ!久しぶり相変わらず綺麗だね」


「はぁ!?い、いきなり何言ってんのよ!///」


しまった…向こうの何時もの癖で…言ってしまった。


「違う違う!何時もの癖で」


「アンタ…自分のスペックを考えて発言しなさいよ…先が思いやられるわ…」


「まぁそれは置いといて迎えありがとう」


「いいわよ、家族なんだから当たり前でしょ?」


久しぶりの家族との会話を楽しみ俺は車に乗った。


「そういえば麗華は今何してるんだ?」


「あの子は今働いているわよ今日も来たがってだけど仕事の打ち合わせ?みたいで来れなかったのよ」


「仕事の打ち合わせ?何の仕事をしてるか知ってるの?」


「知ってるわよでも私からは教えないわ、あとは麗華から聞きなさい」


俺は分からなかった。何故今ここで教えずに本人から聞くように言うのか…まぁ帰ったら聞いてみるか…

無いとは思うがもしかすると…そう思うと心配で仕方なかった。


「怪しい仕事じゃないのは確かよそんなに心配しなくても大丈夫よ」


俺が心配で考え込んでいると彩ねぇは笑いながらそう言ったまぁ彩ねぇがそう言うなら問題はないだろうと自分に言い聞かせ麗華に日本に到着して彩ねぇと一緒に居ることを報告する。


そうしている内に彩ねぇの家に着きおよそ6年ぶりの我が家に帰ってきた。すると彩ねぇは玄関を開け振り向き「おかえり、皇牙」と言ってきたので俺は「ただいま」と言い二人で笑い合って家に入った。

























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皆様更新が遅く申し訳ありません。

今回は会話が少ないですが主人公の過去に少し触れる話でした

読みづらいかと思われますがここまで呼んで頂きありがとうございます!!


これからも頑張りますのでよろしくお願いします。








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