元軍人の兄の妹は人気Vtuber!?

shiromikan

第一話 とある兄妹

とある一室。

そこには女性の部屋であるが女性には似つかわしくない機材が並んでいた。

3枚のモニターにスタンドマイク、恐らく自作であろう虹色に光るゲーミングPCその中で茶髪のロングウェーブヘアが特徴の女性はヘッドセットを付けマイクに向かい話していた。

彼女の名前は白蓮寺麗華。しかし画面に映る名前は西方院白虎となっており、姿は白髪でケモミミが生えており人間ではなかった。そう彼女はVtuberである。しかも、大手Vtuber企業の【Happy World】に所属するチャンネル登録者数90万の有名Vtuberだ。


「こんがおー!群れのみんなー今日は雑談配信するよー!」


白虎がそう明るく言うとコメントが同じ様にこんがおーと早い速度で流れていく。


「今日はね〜いい事があったんだ〜」


『なになに?』

『またお兄様関連か?』

『ついにお兄様と結婚!?』


「あははは!何いってんの?残念な事に実の兄とは結婚できないんだぞ〜!」


『残念な事に←ここ重要』

『実の兄ではなかったら結婚するって言うことだよな…』

『マジでブラコンで草』


「まぁその問題は置いといて、お兄が帰って来るの!!やっとだよ!」


『マジか!?おめでと〜』

『¥10000ーおめでと代』

『¥30000ー少ないですが』

『おい!少ないって俺より多いじゃんか!』

『なんか…ごめん…』

『草』

『お兄様イタリアにいるんだっけ?』


「赤スパありがと!違うよイギリスに居るよ、なんかの特殊部隊に居るってこの間やっと教えてくれた」


『と、特殊部隊!?』

『すご…』

『とあるVtuberの兄が特殊部隊な件について』

『それなんてラノベ?』


「確かにラノベみたいだよねw私も最近になって知ったもん」


『イギリスの特殊部隊ってなに?』

『解説ニキ居ないのか』

『¥50000ーイギリスの特殊部隊といえば【特殊空挺部隊 通称SAS】というものがあります。もしその話が本当ならかなり凄いですよ。あとはググって下さいませ。』

『上限赤スパwww』

『流石やでw』


「そうそうそう!!えすえーえすとか言ってた!そんなに凄いんだね〜」


『お兄様って何歳?』

『確かに気になる』


「えーと私と3歳離れてるからお兄は今年で26歳だよ!」


『ありがとうございます』

『まさか答えるとはw』

『切り抜き頼んだ』

『もうすでにしている』

『仕事はやw』


「あー!!まってまって嘘今の嘘だから!」


『やらかしカワ(・∀・)イイ!!』

『たまにPONあるよな』

『でもそれが〜?』

『いい!』

『あり!』


「あぁぁぁぁぁ!やってしまった…マネちゃんに怒られる…」


『どんまいw』

『¥2623ーこれで許して』

『兄妹の年齢で草』

『ようやるわw』


「も゛お゛お゛ぉぉぉぉ止めてよ!」


そんなリスナーとの会話を続け配信が終わるまでイジられる白虎であった。







場面は変わってイギリス ロンドン ヒースロー空港 VIPルーム

そこには軍服を来た人々が集まっていた。その中にはイギリスの王女である、ヴィクトリア・ヴァーミリオンも居た。

彼らはとある日本人の為に集まっていた。

その日本人の名前は、白蓮寺皇牙。

リスナーにイジられまくっていた麗華の兄である。


「ヴィクトリア様戴冠式が近いというのに私のような一軍人の為にありがとうございます。」


「何を言いますか、貴方だからですよ?他の皆もそう答えます」


ヴィクトリアは慈愛に満ちた笑みでそう言うと他の皆が次々に答えた。


「そうですよ隊長!見送りぐらいさせてくだい!」


「全くだ…オーガは直ぐに帰ろうとするんだからな」


「あははは!そんなに妹が恋しかったですか?」


半ばイジりにも取れる発言をするのは皇牙と同じ部隊のメンバー達だこれは何時ものことで皇牙は気にすることは無かった。


「お前らな〜別にそんなんじゃねぇーよ」


「うふふふ、さては自分だけ部隊を離れる事に負い目を感じているのではなくて?」


「ヴィクトリア様…核心を突かないで下さいませ…」


核心を突かれた皇牙は恥ずかしそうにそっぽを向き顔を見せないようにした。


「そんな事気にしないで下さい!隊長が居なくなるのは寂しいですが何時までも隊長に頼るのも悪いですから…」


「そうですよ!家族の方が大事に決まってるじゃないですか!」


「あぁ…確かに妹は大切だが…一緒に苦楽を共に過ごしたお前らのことも大切な家族なんだ…」


仲間達は気にしなくていいと言っていたが表情は少し寂しそうにしていた。それもそうだ彼らは皇牙が隊長に任命されたその日から数々の紛争地域を共に渡り歩いて来た。

皇牙の言う通りもはや家族の様な存在でもある。


皇牙の発言により、皆が抑えていた悲しみが込み上げていたがある一人の女性隊員によって笑いに変わった。


「ぐすっ…た゛い゛ち゛ょ゛う゛!!」


「うわ!?エレーナ!泣くなそれと抱きつくな!」


「ぶっはははは!オーガは何時からロマンチストになったんだ?」


「あらあら、何時もの光景ね」


大泣きして皇牙の足元にしがみつきヤダヤダと駄々をこねるのは

皇牙の副官にして副隊長のエレーナ・イーストンである。


それを見て大笑いしているのは皇牙よりも年上の大男ガイル・エルヴィス。皇牙にオーガと言う渾名を付けた張本人。


「わ゛た゛し゛も゛い゛っ゛し゛ょ゛に゛い゛く゛〜!!!」


「お前は副隊長としての仕事があるだろうが!」


そんな悶着をしていると皇牙と同い年のオリバー・ジョーンズがエレーナを止めに入った。


「そうですよ副隊長、いい加減オーガ殿を離して下さい」


しかしそれで止まるエレーナではなかった鋭い目つきでオリバーを睨みドスの効いた声で一言だけ発した。


「五月蠅い絞め殺すぞ…」


「いや、怖!?」


その一言で萎縮して何も言えなくなったオリバーは走ってガイルの後ろに隠れた。

結局エレーナはヴィクトリアが説得し皇牙から離れた。ヴィクトリアが説得する前に他の隊員が止めに行ったが皆敢え無く失敗。ガイルに至ったは顎に一撃を喰らい気絶した。


やっと開放された皇牙は皆に見送られながら飛行機に乗り日本へと向かった。


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