第3話.職業とスキル



「あ、そういえばスキルとか確認するの忘れてた!」


そんなことに今更気づいた俺は、少し安全そうな岩場に移動して先程貰ったカードを取り出した。

銅色のカードにはそれぞれ名前、年齢、LV、職業、スキル、称号が書かれており、これは水晶と連動していて、スキルや称号などに変化があった場合には自動で文字が刻まれる。

他人には職業やスキルは隠せるため、世間ではこのカードを身分証明としても使用することができ、ランクが高いカードはそれだけで一種の信用となるのだ。


俺は取り出した銅色のカードに刻まれた文字を、早速読んでみる。


ーーー


名前:篠宮 冥

年齢:16

LV:1

職業:聖女

スキル:聖女の加護・聖女の祝福・聖女の祈り・断罪の剣

称号:なし


ーーー


「え………いや……………え……………は?」


数秒、フリーズ。


そして再起動。


「いやいやいやいや、絶対なんかの見間違えだわうん!だって俺男だしな見た目確かに女の子っぽいって言われるけどちゃんと息子だってついてるしそんなわけないよ見間違えだ絶対よしそうだもう一回見てみよう!」


そう捲し立て、俺はもう一度カードを見た。


ーーー


名前:篠宮 冥

年齢:16

LV:1

職業:聖女

スキル:聖女の加護・聖女の祝福・聖女の祈り・断罪の剣

称号:なし


ーーー


「見間違いじゃ……………なかった!」


カードをいくら見直しても、そこには『聖女』の文字が並んでいた。


「いやでもおかしいだろ!俺男だよ!紛う事なき男だよ!神は何をトチ狂って男に聖女なんて職業与えたんだよ馬鹿なのか?!あれか?俺が小柄で声も高くて女顔で名前も女の子っぽいから勘違いしたのか!………………なんか自分で言ってて悲しくなってきた。てか、なんで俺ダンジョンで一人叫んでるんだろ…………」


我に返った俺は、自分の行動に恥ずかしくなりつつ、このステータスが現実であることを大人しく受け入れるしかなかった。












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る