海へ行くことになった。
いつものように学校へ向かう。
「クラスの皆で海いかね?」
不意に放たれた宮根の提案。誰も何も関係無い話をしていた中での発言。僅かな沈黙。だがその中で皆の意見はほぼ一つになっていた。
「行きたい!」
「行こう!」
「じゃあさ、アリシアちゃんの歓迎会も兼ねるのどう?」
一瞬にしてクラスの陽キャ達はどこの海へ行くか、何をするかの話し合いになった。
「ね、ねえ雨宮君。雨宮君も海、来る?」
「い゛き゛た゛い゛! 」
クラスメイトの花咲さんに誘われる晴。花咲さんは少し頬を赤らめてる。晴は行きたいが交通費が馬鹿にならないから頭を抱えてすっごく迷っている。唸って何かを思いついたらしく俺の方へ向く。
「日向は行くのか?」
当然。と、答えようとしたら花咲さんの顔は少し迷惑そうだった。
「あ、えっと」
晴の方を見るとお願いっ! と手を合わせてくる。晴はおそらく交通費を浮かせようと俺のバイクに乗せてってもらおうと考えている。
「……行きます」
「そうなんだ」
晴はガッツポーズを小さく取る。花咲さんはしょうがないかといった様子。
「俺も行くよ花咲さん」
「ほんと!? 」
すっごく喜んでいる花咲さん。この扱いの差……。
「うおっと!?」
「へ?」
声のする方向を見ると行く人の名簿を取っていた宮根の腰巾着が手を滑らせて手に持っていた名簿が頭に落ちてきた。
「いて」
「わるい」
下敷き付きで地味に痛い。というかこいついつもは謝ってこない癖にアリシアの前なのか素でやったのか今回は違った。
「何やってんだよ、日向もあれぐらいよけろよな〜」
皆笑ってくる。恥ずかしい。やっぱり笑われるのは馴れないな。アリシアも笑わないでくだ………なんでそんな不思議そうな顔をしてくるんだ?
細かなことは今日中には決まんなかったが、アリシアの歓迎会も兼ねるのは決まったのでアリシアが由比ヶ浜海水浴場に行きたいと言った為にそこを中心に計画を立てることになった。
後はクラスライ〇で話し合いになった。なお、クラス全員がパスポートを持っていた場合はクリス・ミラーのプライベートビーチになっていたとのこと。流石は金持ち………
次の休日
ビリ
「…………そんなことある?」
身長が去年より伸びたから確認のために着たら水着が破れた。履けないならわかる。でも破れるってある? いや確かに高校に入って色々とできるようになったから一気に筋肉はついたけど、新しいの買わなきゃな。
買い物に出かける。駅前のショッピングモールに行くと多種多様な水着があった。海開き前なこともあって大勢の人が来ていた。俺は適当に水着を選ぼうとしたとき視界の端でメガネを掛けた金髪のポニーテールの女性が水着を落とした。沢山の水着をかごに入れていた。一つ落としても気づいてない。
全部買うのか?! いや流石に全部試着だよな?
俺は急いで水着を拾って声をかける。
「あのすみません、水着を落とし……アリシア?」
「日向?! 」
変装したアリシアだった。
__________________
このまま水着を選ぶ話もこの1話にまとめようとしたけど、地味に重要なシーンを出したので切りました。
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