最高の遊び場

放課後になって私と晴は集合する。肝心の日向がいない。


「日向は?」


「後十分ぐらいまって。今取りに行ってるから」


「取りにって何を?」


「お楽しみ」


晴の言葉にとりあえず楽しみにしていると約十分後にエンジン音が近づいてきた。


音がする方へ見るとバイクに乗った人がこっちに近づいて止まる。ヘルメットを外すと日向だった。


「おまたせ!」


すごく楽しそうにしていた。


「バイクに乗れるの!?」


日本だと高校生は殆ど乗らないって勉強したから驚いた。バイクに乗るって言うことは結構な距離があるってことなのかな?


「うん。速攻でとったんだ。バイクは父さんが誕生日に買ってくれたんだ」


「優しいお父さんなのね」


「凄い父さんだ」


「羨ましい。いつもこれで晴と行くんだ」


「そうなんだ。ん? 二人乗りで?」


「二人乗りで」


「今3人だけど?」


「「…………」」


二人の反応で分る。この状況を想定していなかったと。次第に青ざめて許しを請う。


「ごめんなさい! 楽しみすぎて気が回んなかったです!」


「見せた時の反応が楽しみすぎて忘れてました!」


「……」


Japanese土下座をする日向と晴。テンションも高かったしそれだけ私に見せるのが楽しみになんだ。これは期待しちゃうかも。


「実は私も持ってるんだ。バイク」


そう言うと日向は一瞬にして目を輝かせる。


「本当!?」


「うん。ちょっとまってて」


そう言って私は走る。急いで家にかえる。直に着替えて免許とキーを取って車庫にあるバイクを押し出して乗る。


元の場所に戻ると二人とも盛り上がった。


「じゃあ早速連れてってよ。その趣味の場所に」


「わかった! ほいヘルメット」


春はバイクを持っていないらしく日向の後ろに乗る。


そして走り出す。


道路を通り山に向かっていく。三十分ぐらい走っていくと私有地に付き立ち入り禁止の看板の横を通る。


入ってよいのかな? ちょっと走りづらいな。


もう数分走ると小屋が見えた。日向は小屋の横にバイクを停めるのでその隣に私も停める。


「こっからこの道を少し歩けばつくんだ」


晴は鍵を開けて小屋に入ると工具箱を持って出てきた。


「よし! いくか!」


日向はそう言って小屋の後ろにある森の小道に入っていった。鋪装はされてないがずっと通っている形跡があって、二人はよく来てることがわかる。なんだろう、凄くワクワクする。なんだか、秘密基地みたい。


「秘密基地に来てる気分」


独り言で言ったつもりが二人はこちらを向いて笑顔になる。


「まさに秘密基地さ! ………そろそろだ」


小道から抜け出す。そこに広がった風景は


ツリーハウスや森の公園みたいな遊具、ターザンごっこやロッククライミングまで色んな物があった。それだけじゃない。所々に滑車とロープがある。マットも引いてあり、奥に行くと舗装された、廃道がある。


「凄い」


まるで撮影セットみたい。色んなアクションシーンが撮れそう。爆発以外。


「これ誰が作ったの?」


「俺たち二人」


「え!?」


二人は嬉しそうに、誇らしげに、自慢したそうに言う。凄い。良く撮影用の建築現場を見るけど、それと比べたらクオリティは高くない。だけど、ちゃんと整備が行き届いてる。


「前にも言ったけど俺さ、映画に出るスタントマンになりたくて、だからここで良くアクションごっこしてるんだ。ここならパルクールだって出来るし、バトルアクション、ワイヤーアクションだってできる。すっげぇ大変だよ。設計図とが諸々1から作ったんだから」


「………」


言葉が出ない。この広さ、山一つ分は流石にないとしても、サッカーコートよりも広いのはわかる。所々にスイッチがありそれがライトに繋がっていた。わざわざ電気まで引いている。


凄い。テレビ見たSAS○KEができそう。私は正直いって凄くワクワクする。どうして放課後に来たんだろう。こんな場所、朝から来て1日中いたい。


「アリシア、これを見て」


日向がスマホで見せてきたのはY○uTuberに上がっているワールドロードの撮影進歩の動画。パパがアメリカでアクションシーンを取っている場面。ビルに飛び移って窓ガラスの側面に着地して側面を走りながら中にいる敵を銃撃するシーン。


ワイヤーアクションを用いた撮影。ヘリを使った撮影でNGを連発してなんどもやり直したシーン。


「晴」


「オーケー」


晴は日向にワイヤーをくくりつける。そして近くにある装置を動かすと日向は釣り上げられた。壁に向かってワイヤーが動かされていく。その動きで何をしようとしているのかわかった。


「もしかして……映画の再現をするつもりなの!?」


私がそう言うと日向は笑顔で言う。


「絶対に楽しそうじゃんこんなの!」


空いた口が塞がらない。ここまで来ると尊敬とかよりもクレイジーに思える。映画のシーンの再現がしたいからってだけでここまで大掛かりな舞台装置を作るなんて。しかも二人で、イカれてるわ。


「最高じゃない」




__________________

犭王が事実上使用禁止になったの納得行かない。

犭王言とかどうすんねん。


同じこと思った人★★★お願いします。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る