アリシア・ミラー

私にとってあれは、トラウマになりうる出来事だったと思う。ワールドロードの撮影事故。死にかけた。パパと知らない誰か、二人がいなければ私はこの世にいなかったかもしれない。でも、今ちゃんと生きている。


怖かった。必死でしがみつく腕が少しずつ離れていく感覚は、長かったようで、短かった。今でもあの瞬間の事は思い出すだけで震える。


でもパパが抱きしめてくれただけで安神して眠れる。

いつも演技でスタントをするカッコいいパパ。

私のために危険を顧みず飛び降りて抱きしめてくれた世界一のパパ。


そしてもう一人、私を救ってくれた知らない男性の方。パパも彼がいなければ間に合わなかった。パパ顔負けの動きだった。とちょっと落ち込んでたけど感謝の気持ちでいっぱいだった。


スカイマンの事を思うと、同じく安心した。


撮影は一旦中断して休暇になって、私も病院から念の為安静にするように言われてホテルにいた。口を開けばスカイマンの話ばかり。でも飽きない。


スカイマン。SNSで発信したけれど正体はわからずじまいだった。


今の社会、有名人の頼みなら1日で特定できると思ったら、パパも私も涙で顔を上手く見れなかったし、どのカメラにも映ってなかったし、混乱してたから衣服を警察に渡す前に洗濯しちゃって証拠も残ってない。当時スカイマンがいたというマンションのオーナーは個人情報だからと頑固口を閉ざす。奇跡的にスカイマンを特定する情報が無かった。




会いたい。



ネットで見つからないなんて、なら探しに行けばいい。だって今日本にいるもん。スカイマンを特定する情報はなかったけど、どこに住んでいるのか地区を絞ることには成功していた。だったらそこを私自ら探して会いに行く。


そう決めた。


パパに伝えたら最初は難色を示したけど、やりたいならやればいい。いや、とことんやるべき。だって。


だから転学した。あまりにも早い対応だったけど、そこはパパがお金に物を言わせて無理矢理押し通した。まさか一軒家まで用意するとは思わなかったけど。

 



初めての日本の学校………不安は無かった。日本は好きだし、沢山勉強したから。


そして出会ったのはヒナタ・カゼマル、風丸日向という日本人。不思議と初めてあった気がしなかった。もしかしてスカイマン? でもオドオドしてるし、動きも滅茶苦茶。余っ程の自信家じゃないと、事故現場に自ら突っ込まないと思うし………。


いや、彼は小さい頃の私とそっくりだわ。人前で上手く行かない所が。自信の無い所も、それでもどこかで諦めきれない所も。


だからわかった。日向がスカイマンだ。


カマをかけてみればわかりやすい誤魔化し方。私にはわかる。




……ねえ、スカイマン。


聞いてほしいことがあるの。私はね、変われたの。自信の無い自分から、絶対に成し遂げてやろう。成し遂げられる人間って。それって凄いことだと思わない? でもね、それってね、結局は決断の時間があってこそなの。


あの事故のとき私はそんな時間もなく、ただただ死にたくない一心で掴まってた。私一人で助かる方法もあったの。でも、そんな方法を考える余裕も無かった。


なのに貴方は無関係の人相手に命をかけて行動できる。それに値する能力も持ってる。思い返してみればどこか冷静だったと思うの。


羨ましいな………私にないものを持ってるの。その事を考えるたびに、安心する。


……ねえ、日向。人って簡単には変わらないって言うけど、それは違って、きっかけがあれば人は変われるの。それが人それぞれなだけ。


私が貴方のきっかけになっても良いかな。なりたいな。


「クラスメイトなのに敬語ってなんか変な感じがしちゃうから、普通に喋ってほしいの。後できたら……名前、呼び捨てにしてほしいな、またね!」


私は廊下を走っていく……………呼び捨ての部分だけはあなた個人へのお願い。









__________________


アリシアって可愛いけどキャラデザ考えてないから書いてるときの想像してる姿にけっこうばらつきがある。


クリス・ミラーて打とうとする度にクリス・プラットに誤字る事が結構あるのでクリス・プラットが伏せ字になってなかったらそれはクリス・ミラーと間違えてるので教えてください(他人任せ)


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