美少女に足を触られているんだが

やばいやばいやばい! アリシアさんと二人っきりだ。


保健室には誰もいなかった。先生は丁度席を外している感じで、鍵が開いたままだったのは幸いだった。

俺が椅子に座ると

アリシアさんはあたりを見渡して救急箱とを見つけるとアイシングと包帯を取り出す。


「ちょっと痛いけど、我慢してて」


そう言うと俺の足を触って靴下を脱がそうとする。


「ちょちょ! アリシアさん? そこまでしなくても、冷やしてちょっと安静にしてればいいだけだから!」


「こういうのはちゃんとしないと痛みが長引くの」


「本当に大丈夫だか、いてっ!」


「強がらないで!」


「は、はい!」


アリシアさんに強く言われて素直に従うしか無いと思った。アリシアさんは慣れた手付きで包帯を巻いていく。アイシングに水と氷を入れて俺に渡してきた。


「……ごめんなさい」


一通り手当が終わり、別の椅子に座ったアリシアさんは落ち込んだ声で言ってくる。


「体育の授業で怪我なんて何処でもあることだから気にすることは無いですよ」


「いいえ、今回は私が注意してればこんな事にはならなかった」


「俺も走らなきゃって必死になっちゃって、ちゃんと前を見てなかったからお互い様、だからアリシアさんが謝る必要は……」


責任を感じてる相手にこの言葉は間違っているかな。そうだ、話をそらそう


「そうだ、アリシアさん、凄く手慣れていたけどなんかやってたんですか?」


「私、良くパパの映画の撮影を見学するんだけど、意外とこういうことって多くて、担当医から教えてもらってたの」


「確かに、トム・クル○ズも撮影でビルとビルの間を飛び移る時に骨折したけど演技を続けたって有名ですよね。ジャッキー・チ○ンの有名な落下シーンも怪我してもなおリテイクしたって有名ですし、ミラ・ジョヴ○ヴィッチだってバイオハザ○ドVで……て、あまり話す内容でも無いですよね」


「そうね、本来なら事故なんて起きないほうがいいもの」


「はは…………」


自分で話題変えたのに自分で切ってしまった。まずい。何か言わないと……えっと…


「ありがとう」


「え?」


「気を使ってくれたんだよね」


「あ、……わかりやすかったですか?」


「そうね、凄く……でも、結構気が楽になった」


アリシアさんは笑顔で答える。良かった。


「ところで、ちょっと気になる事があるんだけど聞いてもいいかな?」


「へ? い、いいけど」


「貴方、どうしてそんなに動けないの?」


「ごふっう!」


いきなりストレートに気にしてることを言われてしまった!


「そう、ですよね、だからこうやって怪我しましたし……」


「ち、違うの! そういう意味じゃなくて、見る限り結構鍛えてるのにボールを投げたときとか、バットを振ったときとか、体中の動きがバラバラなのは何故なのかなって、その筋肉の付きたかは筋トレだけじゃなくてちゃんと運動している人のモノだったから」


「あ、えっと、それは……その……」


俺は人前では凄く緊張して思うように動けない。そう伝える。小さい頃からそうだった。緊張せずに動けるのは晴や家族の前だけだと伝える。


アリシアさんは真剣に聞いてくれた。そして一つの話をしてくれた。


「その気持ちわかるわ。私も小さい頃、そうだったから。クリス・ミラーの娘なら、俳優の娘ならって、過度な期待されちゃってね……上手くやらなきゃ! て空回りして、失敗ばかりしてた。それが嫌になって学校に行きたくない時期もあったの」


意外だ。今の俺と変わらなかったのか。いやちがう、小さい頃の俺と変わらなくて、それを克服したのか。


「そしたらね、パパが学校をサボって私を撮影現場に連れ出したの! 最初は『パパの娘』と思われるのが嫌だ! と思ったけど、見学してたらパパ、何回もミスして何回もリテイクしてね。でも、凄くかっこよかった。だって、格好良く決めるまで諦めずにずっとやり直すんだもん。上手く行ってもこれじゃだめだって。撮影では当たり前だけど、私にとっては凄いことだと思ったの」


それを語るアリシアさんは凄く楽しそうで、嬉しそうだった。


「だから私も上手くいくまでやってやろうって、思って、そしたらやることなすこと全てが楽しくなったの。失敗しても、じゃあ次は成功させてやるって………て、ごめんね、長く話しちゃって」


………いいなぁ。凄く羨ましいな。


アリシアさんは少し申し訳無さそうにするも少し不思議そうにする。


「なんで私、こんな話をしたんだろう。誰にも話したこと無かったのに、貴方とはまだ会って初日なのにどうしてだろ? 不思議? やっぱり初めてあった気がしないからかな」


あ……やばい。この流れでスカイマンになるとは。


「えっと、多分、似たもの同士だからじゃないかな。いや、似たもの同士だった。から、かな〜」


よし! 一番それらしいこと言った!


「そうかな? そうかも! て、私は怪我してないのに長居してたら怒られるかも。後は一人で大丈夫かな?」


そう言われて立つ。


「普通に歩く分なら平気です。流石に体育は見学ですけど」


「よかった。私は戻るね」


アリシアさんはそう言うと、保健室から出る。と思ったら直に戻ってきた。


「そうだ、一つお願いがあるの」


「えっと、なんですか?」


「クラスメイトなのに敬語ってなんか変な感じがしちゃうから、普通に喋ってほしいの。後できたら……名前、呼び捨てにしてほしいな、またね!」


そう言って今度は本当に行ってしまった。



俺の顔は真っ赤になった。





__________________


アリシアの俳優の娘設定を活かす場面! え? 活かせてるかって? さあ知らない?



アリシアがどこらへんで嘘付いたかわかったひと★★★お願いします(乞食)






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