美少女に支えられているんだが?

「冷た!?」


えっと、俺は何を?………思い出した。アリシアさんに投げ方を教えてもらってる途中で気絶して……


「なんでびしょ濡れ……」


体中何故か濡れていて体操着が肌にベタつく。横を見るとバケツを持った晴がいた。


「よし起きた」


「あざす」


周りを見ると皆引いている。立って気絶した俺に対してもだが気絶した人間に水をぶっかける晴に向けて悪魔でも見るような目を向けていた。




野球の授業は再開しチームに別れて試合する。アリシアさんとは別のチームだ。


とうぜんのように俺は9番で下位打線入。しょうが無い。ポジションはライト。咄嗟に素人集団の試合なんて対して打球が飛ばないからって理由で後ろを守らされる。

 

逆にアリシアさんは俳優の娘な事もあり運動神経抜群なのも有名だったために一番で速バッターボックスに立つ。


ちなみピッチャーは宮根。そちらも運動神経が抜群。クラスで人気者。気合開始早々人気者同士がぶつかりあえば当然周りが湧く。

 

「アリシアさんがんばれー!」


「宮根! 手加減してあげろよ〜」


ピッチャーとバッターは真剣な顔でマジになってると人目でわかる。次第にピリ付いた空気が伝わりおうえんも小さくなり皆息を呑む。


繰り返し言うが試合開始直後である。


宮根が投げるとアリシアさんはいきなり特大ファールを打ち込んだ。


「すっ、スゲ~」


「宮根からいきなり打ったぞ」


そして2球目、もう一度振ると思わせてバントをする。


予想外の一打に遅れてボールを取りに行くも普段から野球をしている人達で無いために間に合わず出塁を許す。


「す、凄いなぁ」


羨ましい…………宮根もアリシアさんも、どう生きたら、どうすればあんなに動けるんだろう。


宮根は自信家だ。文武両道で見た目もいい。他の人を下に見ている所はあるけれど、下に見れるほどに優れている。人前であっても緊張するどころか見せつけるように派手に動ける。


アリシアさんもだ。事故の時は落ちそうになったとき、咄嗟にパイプに捕まった。映画だと普通に捕まってることが多いが実際には掴む動作すらできずに終わることのほうが多い。


今回の野球もそうだ。転校初めての野球なのにいきなり裏をかいてバントを決めている。環境が変わっても、状況が変わっても、即座に対応できてる。


アリシアさんとあってまだ短い、いやほとんど会ってないようなものなのに、こんなにも俺とは違うって認識させられてる。


「早速1点が入った!」


他の人も打ってアリシアさんがホームベースを踏む。ベンチに居る人達皆と順番にハイタッチをする。


アリシアさん、楽しそうだな。


俺は、楽しくないな。自分自身が上手く動けないから楽しくない。自分勝手な理由。


1点取られてたがスリーアウトでチェンジになる。暫く点は入らずに3ウイニング目で俺はバッターボックスに立つ。


しゅっ、 ばん! ストライク


シュッ ばん! ストライク


あっさりツーストライクになってしまった。やばい、今バッターだから、皆からの視線が………


 『必死になればいいじゃないか?』 


ふと晴の言葉を思い出す。


そうだ、必死になれば多分……


ピッチャーがボールを投げる。


あのボールは手榴弾……打ち返さなければ死ぬ。あのボールは手榴弾! 打ち返さなければ死ぬ!!


バットを本気で振るう。打ち返した。


「打てた!」


そして全力で一塁に走る。走れ! 走れ! ここは戦場だ!


そう思い足を精一杯動かす。


ボールはピッチャー返しとなり、ミットに一度は収まるもちゃんと取れてはいなくて落としてしまう。焦って拾い投げたボールは暴投となり、ショーとのアリシアさんは跳んで何とか取る。ギリギリアウトだ。


「よし! これでアウ……」


「あぶない!」


しかしその拍子に少し下がってしまい、バッターの走塁ルートに堂々と被ってしまった。


それは俺にとって予想外のことだった。もう一度言おう、ギリギリアウトだ。


つまりアリシアさんが下がったタイミングは俺がベースを踏む直前だと言うこと。


「やば!」


アリシアさんとぶつかる直前、俺は咄嗟に避けようとして足を滑らした。


ずさぁ……っ!


「いてて」


何とか受身をとれた。


「大丈夫!?」


「だ、大丈夫です」


血も出てないし擦り傷も無いことを見せるとアリシアさんは安堵する。

俺は立ち上がろうとすると左足首に痛みが走って手をついでしまった。どうやら足を捻ったようだ。


「すみません、ちょっと保健室にいってきます」


先生に伝えると手を貸そうかと言ってくる。だけど先生は貸すことは無かった。アリシアさんが俺を支えてくれようとしてくれたからだ。


「あ、アリシアさん?!」


「私のせいだよね……私が責任を持って保健室まで同行します」


アリシアさんの言葉に先生は同意し、保健室の場所を教える。


俺はアリシアさんに支えられながら保健室まで歩いた。







__________________



アリシアはアメリカ人だから本来この場面で謝んないけどそれだと話が進みづらいので感性を一部日本人に近づけました。


ちなみに作者は結構外国人に話しかけられます。何で? よくどの電車に乗れば良いか聞かれます。


センキュって言われると結構嬉しいです。


英語喋れない同士は★★★お願いします(強欲で貪欲な壺)


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る