美少女が俺の腕に触ってくるんだが

「………な、なんのことかな〜」


「よしじゃあお前の不自然な挙動13個挙げてやろう」


「はい俺がスカイマンです」


俺ってそんなに態度に出てたのか……まずい。


「皆にバラさないでくれ」


「バラさないさ。それより隠す理由を教えてくれ」


「騒ぎになるし、それに、色々と事が起きるだろう。それが嫌だ」


「お前の夢はスタントマンになって映画に出る事だろう? アリシアさんには大物俳優の娘だ。絶好のチャンスだろ」


「そう言われても……」


「そうだった。日向はあがり症だったな」


やれやれ、いつものことかと晴は呆れる。けれど直に疑問符を浮かべた。


「アリシアさんと話したら気絶すると思ってたのに、さっきは気絶しなかったな。会話もできてたし」


「それは、どうしてもあの事故の事が嫌でも頭に浮かんで、なんだろう、必死になるんだよ。バレないように」

 

「動画では助けるときにも人に見られてたのに動けてたな。その時も必死だったとか?」


「うん。アリシアさんが危ないって」


「てことは、あがり症を治す一歩じゃないか! 頭の中で危機な事を浮かべて必死になるんだよ! そうすればきっと人前で緊張しない!」


「!?」


そっか、確かに思い返してみれば、僕は必死な時は緊張せずに思い通りに動けてる。少しは成長している……かな?


「ありがとう晴。ちょっと自分に自信が持てるかも」


「そりゃ良かった。飯のときジュース奢ってくれ」


「炭酸以外受け付けません」


最後にはくだらない事を言い合いながら教室へ戻る。


「皆いない……」


「次の授業体育だったなそういえば」


時間を見る。刻一刻と遅刻までの時間が迫ってた。


「いそげ!」


「トラ○ザム!」 


急いで更衣室に行って急いで着替えて校庭に出る。


「ギリギリセーフ」 


走ってなんとか間に合う。


「か、カワイイ」


ついボソッと言ってしまう。体格の隠れやすいブレザーでは分からなかったが半袖半ズボンの体育着に身を包んだアリシアさんの姿。


華奢に見える細くもわずかに見える筋がちゃんと筋肉があると思わせる。足も見た目は柔らかそうだが皆にせがまれて回し蹴り等をしてもぶれずに軸足としてしっかりと機能している。そして体幹が良く安定している。それが不純物何一つない透き通った肌で動いているのだから美しく見える。


風が吹いて髪をなびかせればもう絵になる。


流石は俳優の娘と言えるだろう。


「お前らしゅーごー」


まだ授業は始まってないが全員が集まったという理由で先生は号令をかけて授業を始める。準備運動をした後に野球の準備をする。


「二人組でキャッチボールをするぞ〜………隣同士でペアを作れ〜」


二人組といった瞬間に全員がアリシアさんの方へ向いた。が、先生はめんどくせ~となって隣同士でペアを組ませる。当然いつもと違うペアの組み方にブーイングが起きる。


「せんせ〜、ここは運動神経のよい者同士で組むと良いとおもいま〜す」


「運動神経の良いものが良くない者に体の使い方を教えれば全体の運動能力が上がるうえに説明も上手くなる。好循環だな」


「でもアリシアさんは初めてなんですよ。なら野球部の俺とペアを組んだほうが良いとおもいま〜す」


「はいはいそうですね〜、でももう決まったことなので、既にキャッチボールを始めているペアがいるぞー。お前らも早くしろ〜」


あれこれ言いたそうだが教師相手だと分が悪いのか不満げにキャッチボールを始める。


うそうそうそうそアリシアさんと俺がペア!? やばいめっちゃ緊張してきた!


「日向」


「ひゃっ!? ひゃい!」


「か、変わった返事だね。ボール持ってきたから早速やろう」


「は、はい!」


ある程度距離を離れるとアリシアさんからボールが投げられる。慌てて取る。

やばい、ちゃんと投げられるかな。粗相がないように投げられるかな。


よ、よ〜しなげるぞー!


「お、りゃ〜」


カチコチ プォン ポテ コロコロ


ちゃんとアリシアさんの方向へ行く投げられたが半分ぐらいで地面について転がり届かずにボールが止まる。


「………ご、ごめんなさい」


は、恥ずかしい。上手く投げられない。皆の視線が痛い! 特に野球部からの視線! ひ、一人が晴相手だったらちゃんと投げられるもん……


アリシアがボールをひろうと投げること無くこちらに近づいてくる。


「粗相を働いてすみませんでした」


土下座をして許してもらおうとする。効果あるかな。


「そうじゃなくて……」


顔を上げると若干引き気味なアリシアさん。土下座が駄目だと直にわかり急いで立ち上がる。


「投げる時、体の動きがバラバラだから、まずは肘を前に固定して肘を支点に手首も一緒に動かしてみて投げてみて」


そう言われボーるを渡される。


近い近いいい匂いがする! 


恐らく投げ方がわからないと思われてる。ごめんなさい。本当なら140キロ以上で投げられます。でも緊張して投げられないんです。


どうしようアリシアさんの吐息が聞こえる。ああ、鼓動が、鼓動がああああ!


で、でも好意はむげにできない! なんとかしてやらないと


かっちっごっち


「動きが硬いね。もっとなめらかに、こう」


そいって俺の腕を触ってくる。


柔らかい! 肌スベスベ! あああああ! アリシアさんに触れられている! 優しく触れられている! 指先も綺麗だしああああああああああ!!

………




「……あれ?」


アリシアは疑問に思う。日向の体に触れてわかった。彼の筋肉の付き方は運動できない人のそれではない。むしろ普段から運動している人のそれであり、もっとちゃんと動けてないとおかしい体であることに気づく。


「すごい」 


腕を見ただけでわかる。その筋肉のバランスはまさに芸術的とも言える。ただ筋トレをしているだけではなり得ない、まさに自在に動ける体だった。


だからこそまともに投げられない日向に疑問を抱く。それが気になり確認しようとすると




「…………気絶してる?!」








__________________


日向の初期案はぼっちちゃん風にしようとしました。


あがり症設定はその名残です。


★★★お願いします(強欲で貪欲)

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