1-5

一年生歓迎対抗戦



レギュラーチーム


監督 鹿沢(3)


鷲川(PR 3)

古龍(HO 3)

根田(PR 2)

須野田(LO 3)

小川(LO 3)

西木(FL 2)

児玉(NO8 3)

テイラー(SH 2)

二宮(SO 3)

瀬上(CTB 3)

佐藤(CTB 2)

原院(WTB 3)

星野(WTB 3)

能代(FB 3)



新人チーム

監督 松上(3)


江里口(PR 1)

此村(PR 1)

銀原(HO 1)

今岡(LO 1)

杉畑(LO 2)

掛原(FL 1)

相模(NO8 2)

里(SH 1)

犬伏(SO 2)

安生(CTB 1)

園川(CTB 1)

ホール(WTB 1)

金田(WTB 2)

中谷(FB 1)



「あれ、あっちも強くね?」

 試合が始まって5分。西木は思わず声を漏らした。

「金田と犬伏がいるからなあ」

 一年生歓迎対抗戦の役割の一つは、先輩の圧倒的な力を見せつけることである。「ここまで頑張って登って来いよ」と伝えたいのであるが、今年は雰囲気が違った。一年生チームが意外と粘り強いのである。十人中半分の五人がラグビー経験者で、そこに4人の二年生が助っ人で入っている。特に犬伏と金田はバリバリのレギュラーで、チームの得点源だった。

 もちろん5人の初心者がいることから、つたないプレーも続出する。しかし他のメンバーが何とかサポートして、上級生たちの攻撃をしのいでいるのである。

「俺がトライとってやるぅ」

 ボールを手にしたロックの今岡は、まっすぐに突進した。さすがにレギュラーチームの守備を突破するのは無理だ、とだれもが思った時、ちょこんと蹴られたボールがふわりと浮いた。守備の後ろ側にポトンと落ちたボールに向かって、プロップの江里口が走り込んでいく。だが、楕円球は大きく跳ねて、守備陣の方へと転がっていった。

「ノーっ」

「おい、ちゃんと蹴れよ!」

「そこまでコントロールできるかいっ」

 レギュラーチームの面々の表情が一気に引き締まる。昨年も完封はできなかったが、得点はカルアのとんでもないペナルティキック一つに抑えた。だが、今年はすでに「普通に」失点のピンチを迎えたのである。

「先輩たちの方がかたくなってんぞー」

 後方から声が聞こえてくる。声の主はフルバックの能代だった。一番後ろから、全体を見渡す役割。三年生になり、彼はよりそのことを意識するようにしている。

 そして能代も、今日の一戦が例年とは全く違うものになっていることに気が付いていた。ただでさえ強力なメンバーが卒業しレギュラーの力が弱まっているところに、チームの核となりつつある金田と犬伏が敵側に回っているのだ。苦戦しても驚かないが、苦戦するようでは三年生たちが情けないともいえる。

 あくまで、勝ちを狙う戦いだ。能代は、いつものように集中していた。

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