18 【報告】新しい仲間が増えました⑦
気付くとローディアの街についていた。
馬車で行った時よりも確実に早く戻ってくることができている。
取り敢えず街の中に入ろうと門をくぐろうとして、衛兵に止められる。
「ちょっと君、その魔物は何だね!」
メイスイを指さしながら衛兵が言う。
そう言えばこの巨体である。
村でもそうだったのだ。警戒するのは当然である。
「すみません、私の仲間なのですが…ちょっと待っててください」
そう衛兵に言って、リリアはメイスイの方を向く。
「どうやらそのまま街に入るのは難しいようです。もう一度小さくなってもらえますか?」
「いいけど、ちょっと面倒くさいなあ。リリアがこのままでも入れるよう説得してくれてもいいんじゃない?」
「まあまあ、いいじゃないですか」
「それってリリアが小さくなってほしいだけじゃ…」
「そんなことないですよ」
はあ、とため息をつきメイスイが小さくなる。
それを抱えてリリアは衛兵の元へと戻る。
「お騒がせしました。これで問題ありませんか?」
小さくなったメイスイに驚いている様子の衛兵であったが、すぐに冷静を取り戻す。
さすが街を守る役職についているだけはある。
「う、うむ。それならばいいだろう。だけど、他人に迷惑をかけないようしっかり制御するんだぞ。何か問題が起こればこの街から直ちに追い出すからな」
「わかりました。ありがとうございます!」
通過の許可が出たリリアは一言お礼を言い、中に入る。
そして、ギルドを目指した。
ギルドに入り、村へ行くときに対応してくれたギルド員のお姉さんの所へと向かう。
「おかえりなさいませ」
「はい。ただいま戻りました」
お姉さんの言葉にリリアはそう返す。
「朝受けて頂いた依頼の件ですね。依頼の達成書はありますか」
「これですね」
そう言い、リリアは鞄の中から依頼達成書を出す。
これがなければ、いくら依頼を完遂していようとも報酬を受け取ることはできないのだ。
「はい、確かに受け取りました。ではこちら今回の依頼の報酬になります」
お姉さんがトレイに乗せてお金を渡してくれる。
リリアはそれを鞄にしまった。
そう言えば、と思いリリアは尋ねる。
「すみません、冒険者ギルドって魔物の買い取りもしてもらえるんでしたっけ?」
「はい、基本的にはどんな魔物でも持ち込んでいただければ、買い取りをさせていただいております」
「それじゃあおねがいしたいのですが…」
「いま、討伐したものはお持ちですか」
「はい」
「わかりました。ではギルドの裏の方へお越しください」
ギルド員のお姉さんに案内されて、リリアはギルドの建物の裏にある庭のようなところにきた。
「ではここで討伐した魔物をお出しください」
お姉さんにそう言われ、リリアはアイテムバッグから大きな白い包みを出す。
その包みを開くと中から出てきたのはゴブリンであった。
村で討伐したゴブリンである。
持ち帰ると何かあるんじゃないかと思い一応持ち帰ってきたのだ。
アイテムバッグは中でものがごちゃごちゃすることはない。そのため、そのまま入れても中身や鞄自体が汚くなることはない。
しかし、なんとなくむき出しで入れるのは気が引けたので、使わない白い布に包んで持ち帰ってきたのだ。
「ゴブリンですね。では対応いたしますので、建物の中でしばらくお待ちください」
そう言われリリアは建物の中で待つことにした。
膝の上に小さいメイスイを乗せ、その背中を優しくなでながら待つ。
メイスイは始めこそ少し迷惑そうな顔をしていたが、あきらめたのかしばらくしてからは丸くなっておとなしく寝ていた。
「リリアさん、いらっしゃいますか」
「はい!」
名前を呼ばれてカウンターの方へ行く。
「お待たせいたしました。ゴブリンの買い取りの計算が済みました。こちら買い取り金額になります」
渡されたお金を受け取る。
「続きまして、魔物の討伐をしたという事で冒険者ランクが上がります。手続きをいたしますので冒険者カードを貸していただいてもよろしいですか?」
リリアは冒険者カードを渡してお姉さんに渡した。
今はEランクだったからDランクに上がるようだ。
たしか、魔物一匹以上の討伐が昇格条件だったような気がする。それをゴブリンの退治で満たしたのだ。
冒険者ギルドに登録して一ヶ月弱。もう2つランクが上がった。
とはいえ、これはそれほど珍しいことではない。多くの冒険者は魔物の討伐まではすんなりとこなすからDランクまではすぐに行くらしい。そこからCランクに上がるのが一つの壁になっているという。
「手続きが終了いたしました。Dランクへの昇格おめでとうございます」
「ありがとうございます!」
リリアは返却された冒険者カードを受け取る。
そこに記されている文字がEからDへと変わっていた。
「またよろしくお願いします」
そう言って、リリアはメイスイとギルドを後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます