4-19 断罪、そして明かされる真実 2
「イメルダ……お前は、ゴードンの娘では無かったのか?」
驚いた様子でイメルダ夫人に尋ねる父。
「ええ、そうよ。あんな男が実の父親のはずないでしょう!? 元々母は子爵家のメイドで、そこの家の当主との間に子供を設けたのよ。それが私。だけど、その事実が夫人にバレて、身重の状態で追い出されのよ」
「何だって……?」
父はその言葉に眉をひそめる
「そこで、行き場をなくして困った母は自分に好意をよせていた、準男爵家だったあの男の元に身を寄せてふたりは結婚したってわけよ。つまり、私とあの男は全く血の繋がりなんかないのよ!」
イメルダ夫人はまるで吐き捨てるように言い切った。
「なるほど……つまりイメルダの母親は子爵家の愛人であったが捨てられた。そこを拾ってくれたのがゴードンだったというわけか?」
アンリ氏がイメルダ夫人を見た。
「何よ! その拾ってくれたって言い方は!」
「そうだろう? 何の関係もないゴードンがお前と母親の面倒を見てくれたってことじゃないか?」
アンリ氏は睨みつけるイメルダ夫人の視線をものともしない。
「だったら何だっていうのよ! それよりも母親の話を思い出させないでよ! 私を捨ててよその男の元へ行ってしまった女の話なんか……!」
「ふ〜ん……だから、そんな歪んだ性格になってしまったのね? それで自分の母親のような真似をしようとして、失敗したってわけね」
あろうことか、フィオナがイメルダ夫人に軽蔑の目を向ける。
「フィ、フィオナ! あ、あなた……私は仮にもあなたの母親なのよ!? その私に向かってなんて口を聞くの!」
「うるさいわね! こんなことになったのは何もかもあんたのせいよ! あんたが私の人生を狂わせたのよ!」
「今はそんな母娘喧嘩をしている場面ではない! いちばん大事なのはルーカス! 何故医者であるお前がゴードンの行いを止めなかった? お前はいつも私にルクレチアは心神喪失による衰弱だと説明してきたではないか!」
父は再びルーカス先生の尋問を始めた。私も父と同じ気持だった。
何故先生はゴードンの行いを知っていた上で黙認……いや、見殺しにしたのだろう?
「伯爵! わ、私はそれでも初めは必死でルクレチア様の治療をしていたのですよ? それで……何かおかしいと気付いて……ゴードンを問い詰めたら、彼が白状したのです。自分の可愛い娘がルクレチア様のせいで……捨てられてしまったので、娘の受けた苦しみを少しずつ与えているだけだって!」
「な、何だと……」
その言葉に父が怒りで震える。その言葉は私もショックだった。母は何も悪くないのに……!
「なんて話だ……逆恨みも甚だしいな……」
「ああ、全くだ。聞くに耐えない話だな……」
レオナルドの言葉に、シオンさんが同意する。当事者であるフィオナとアンリ氏、イメルダ夫人は無言を通している。
「そうです! 私も同じことを考えました。そこで、どんな事情があろうとも医者としてこのような所業は見過ごせないので今すぐやめるように説得しました。勿論伯爵にも報告させてもらうと彼に告げたのですよ?」
私達の反応が、自分に少し有利になるとでも思ったのか……ルーカス先生の話し方に少し勢いがついてきた。
「だったら何故、このような事態になったのだ?」
父は怒気を含んだ声でルーカス先生に尋ねた。
「そ、それは……か、彼に……脅迫……されたから……です……」
先生は真っ青な顔で震えていた――
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