4-7 断罪 2
「な、何よ……フランク。何故、そんな目で私を見るのよ……だ、大体良くも私にそんな態度私によく取れるわね!?」
イメルダ夫人は今までにない父の気迫に押されているように見えたが、強気な態度を崩さない。
「お前こそ、いつまでそんな高飛車な態度を取っているつもりだ? 私を罠にはめ……フィオナは私の実の娘だと今まで騙していたくせに」
「!」
その言葉にフィオナの肩が大きく跳ねる。
「だ、だけど……たとえ血は繋がっていないとしても! 私達は婚姻しているのよ!当然フィオナは貴方の娘になるでしょう!」
「婚姻……? 本当にお前は私と籍を入れていると思っていたのか?」
父は内ポケットから封筒を取り出すと、不敵な笑みを浮かべた。
「な、何ですって……?」
「これはカルディナ家の戸籍だ。見てみるがいい」
イメルダ夫人は無言で父から封筒をひったくると、慌てた様子で中から戸籍を取り出すと目を通した。
「そ、そんな……馬鹿な……!」
放心状態の夫人の手から書類がパサリとテーブルの上に落ちた。すると今度はフィオナが書類を手にした。
「う、嘘……わ、私の名前……載ってないわ!」
「当然だ。最初から私は婚姻届など提出していないからな。お前たちは全くの赤の他人だ。大体一度も戸籍を確認しようとしてこなかったのは誰だ?」
「酷い! 私達を……今まで騙していたなんて!」
ついにフィオナが叫んだ。
「酷いだと? 血の繋がりが全くないお前を今まで援助してきたのに? 家を与え、生活費を与え……成人年齢に達するまで面倒を見てきたのにか? それどころかフィオナ。お前はあろうことか、レティシアの婚約者であるセブランに横恋慕して、奪おうとしていただろう?」
そして一瞬、父は扉に視線を送るとすぐに視線をフィオナに戻した。
「……っ! そ、それは……」
言葉をなくすフィオナ。
「本来なら、ここにいるアンリがお前達の世話をするべきだったのに……」
父は忌々しげにアンリ氏を睨みつけると、彼は気まずそうに視線をそらせた。
「これでもう分かっただろう? 赤の他人のお前たちをこれ以上この屋敷に置いておく理由はない。出て行ってもらおう」
「何ですって!! わ、私達を追い出すっていうの!?」
悲鳴じみた声を上げるイメルダ婦人。
「当然だろう? お前たちは赤の他人だ。おまけにレティシアから婚約者を奪おうとしたのだからな」
今や、父は苛立ちを隠そうともしない。でも何故父はそんな言い方をするのだろう?
私がセブランと婚約破棄をしたい旨はもう伝えてあるのに?
するとイメルダ夫人が言い返す。
「何を言ってるのよ! それは違うわ。セブランが勝手にフィオナに熱を上げていただけの話よ。……あ、そうだわ。いいことを考えついたわ! フィオナがセブランと結婚すればいいのよ。そうすれば私達はこの屋敷を出てもマグワイア家でお世話になれるじゃないの! どうせセブランはもうレティシアに興味は無いのでしょう?」
この期に及んで、イメルダ夫人はフィオナにとんでもないことを言ってきた。
この言葉には流石にレオナルドにシオンさん、そしてアンリ氏も呆れた表情を浮かべる。
「イメルダ! お前は……!」
父が怒りを顕にしたそのとき……
「いやよ!! 私は少しもセブランなんか興味無いんだから!!」
フィオナが叫んだ――
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