第6話 自分のお部屋

「ここが、お部屋……?」

私は目を丸くした。

「ええ。…狭いでしょうか?」

近くにいるノエルさんが心配そうにこちらを見るが、そういう事では無い。

「だって、こんな……満足過ぎますよぉ!!」

「アルノメア様っ…?」

「こーんな広くって、大きな机に本棚も?ノエルさん、こんな良いお部屋を私に?」

「ええ、満足頂けたならば何よりです。」

私は有頂天だった。

ここなら大好きなお絵描きも読書も楽しめる。

「あっ、でも……」

お絵描き……。

「どうされました?」

「ノエルさん、ここでお絵描き…ダメですよね?」

流石にこんな綺麗な場所で、絵の具を扱うなんて以ての外……

「もしや、部屋が汚れることのご心配を?」

図星かぁ……。

「は、はい……もし筆とか、絵の具とかを落とした時とかに汚れちゃったら……って。」

「構いませんよ。そうだ、ヴィクター様に頼んでアルノメア様専用のアトリエを作って頂きましょう。」

いやいやいや待って?

そんな強欲なこと言ってないけど!?

「ノエルさんっ?私そこまでは……」

「旦那様のお部屋に参ります!」

「ま、待って……!!」

びっくりするほど生き生きした顔で部屋を飛び出すノエルさん。

「ノエルさぁーん……。」

ノエルさんどこなの?

屋敷が広すぎて私迷子になりそうだよ?

「あ、あった……。」

私がノックしようとした時、部屋からノエルさんが飛び出した。

「奥様、許可が降りました!」

「え……えええっ!?」

初めて奥様って呼ばれた……。

「ああ、アルノメア。絵が好きなのか?」

ヴィクター様も顔を出す。

「へ?あ、はいっ。」

「そうなのか……アトリエを建てる次いでに、今度街で筆と絵の具……あとはキャンバスも幾つか、一緒に買いに行こう。」

「あ、はい……。」

何か色々話が進んじゃってるけど、まぁ……いっか?

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「猛獣」扱いされている辺境伯に嫁ぎましたが、想像より幸せでした。 灯練 @teiren

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