第4話

新しいマイハウスの設置場所は良い感じの大きな湖畔近くにしました。ここなら魔物食肉に困りませんね。だって、水は生物には不可欠なものですからね。ついでに素潜りで魚や蟹や海老をたまに取りに行けるのでベストな場所ですね。


前に私「水掻きも背びれもなく肺呼吸」だと申告していたじゃないですか?実は、最近になって水掻きと背びれがありました。エラ呼吸も出来ます。つまり、私は両生類だったんですね。え?違う?似たようなものですよ多分。


で、何故判明したかと言いますと全裸で湖畔を潜水していたら生えてきたんですよ。水掻きと背びれが。驚いて酸素をゴボゴボしていたら息が苦しくなかったんですよ。そこで、「あ、私エラ呼吸出来る」と判明したんですよね。


つまり、今まで陸上生活だったので自分の身体のことを全部知らなかったんですよね。え?お風呂の時に気づかなかったのか?どうやら、お湯の中では生えない仕様みたいです。だから、今まで気付きませんでした。で、陸に上がって身体が乾いてくると水掻きは手足に格納されて背びれは背中に格納されました。便利ですね。


これらの事を考えまして、もしかして?と思い背中に力を入れてみたところ、ドラゴンっぽい?悪魔っぽい?大きな蒼い翼が生えてきました。これで空を自由に飛びたいな〜、と出来るようになりましたね。格納するには「収納」と念じれば出来ました。




「ふぅー、今夜も闇に紛れて訪問する経験値さん達の対応もお終いですね。死体処理は穴掘って明日にしますか。ふぁ〜」


私が残した目印を辿ってマイハウスまで毎日熱心に訪問してくれる黒装束の経験値さん達を就寝前の軽いストレッチ感覚で首を刎ねて差し上げました。今日は何やらいつもとは雰囲気も対応も違ってましたが眠いのでさっさと終わらせたくて経験値さんの誰かが武器を抜いた瞬間に1人殺しちゃいました。それで戸惑いを隠せない女性数人が混ざってることに気付きました。ま、無視して殲滅しましたが。人手不足ですかね?まさか、そろそろ打ち止めですかね?うむ、経験値さん達の本拠地に攻め入って収穫するべきでしょうか?


いやいや、何故私が出向かないといけないんですか。しかも、かなりめんどくさいじゃないですか。


最近の私、妙に好戦的な気がするのですが何か生えてきてるのでしょうか?持ち合わせのスキルで進化するものは無かったので確認していませんでしたので寝る前に確認してみます。"ステータス"




名前:イサナ(前世:田中太郎)

年齢:5

性別:男

種族:?族

Lv:167

職業:剣舞士


ユニークスキル

【神交信】【歌舞音曲】【開演中の私語は厳禁】【見よ聞け私を!刮目せよ!】【歌唱心象投影】【権力なんてクソ喰らえロックンロール【戦闘狂】バトルジャンキー


スキル

物置、図鑑、剣技、剣術、剣舞術、抜刀術、舞踏、舞踊、体術、威圧、演技、挑発、隠蔽


魔法

水魔法、海魔法、氷魔法、幻影魔法、歌唱魔法、闇魔法、暗黒魔法、龍魔法


加護

創造神ナイアラルの使徒

芸術の神の愛し子

戦神の寵愛




「…"図鑑、加護ページ【戦神の寵愛】オープン。ユニークスキルページ【戦闘狂】オープン"」




図鑑


加護ページ

戦神の寵愛…戦神ハッカクが貴方を認めた証。ユニークスキル【戦闘狂】を授かりました。


ユニークスキルページ

戦闘狂…戦神ハッカクから寵愛された者に与えられるユニークスキル。効果はとても好戦的になり、継戦能力が向上する。戦いのためなら避けられる諍いに首を突っ込む。多対一という状況下になると全てのスキル効果が継続向上する。デメリット、戦いに幸せを感じるようになる。




完全に厄スキルですね。そうですか、やっぱり

フランさんの時に挑発スキルを発動させていたのは気のせいではなかったんですね。


それにしても、戦神様に認められるようなことを私した覚えがありませんけど?不思議ですね。


可能ならこのユニークスキルだけはON/OFF出来れば良いんですがね。…ナイアラル様、夜分遅くに失礼します。戦神様から授かったユニークスキル戦闘狂にON/OFF機能を付けて下さい。私、常に殺戮のことを考えたくありません。せめて、戦闘時に自動ONにするくらいにしてください。お願いします。


【おっけー】


迅速な対応、ありがとうございます。


これで安心して寝れますね。おやすみなさい。




sideライオット王国国王


ライオット王国国王の執務室内


壮年の男、リチャード・ライオット。多民族国家ライオット王国の58代国王とライオット王国国王直属暗部の長が密室内にて会話をしていた。


「何?第2王女と配下が消息不明だと?監視の者はどうした?必ず3人は影に付けておったろ?」

「共に消息不明でごさいます。」

「何処に何の用で出掛けたか把握していないのか?」

「最近、第2王女殿下は他国であるバルシアナ帝国にいる魚人族の子供を配下の者達に連れて来るように命令をしておりました。しかし、件の子供が相当な手練のようで送り込んだ者達が帰って来ないという事態が続き次第に配下の者を減らす形になって第2王女殿下は…その、正気ではありませんでした。」

「アレは何処で踏み外したのか分からぬが、悪趣味な遊びを好んでおったからの。すると、件の子供に第2王女自ら会いに行ったということか?」

「恐らくは。」

「なんという軽率な。いくら相手が子供と言えようと分別のつかない輩を相手にすることになるとは思い至らないのか?」

「現に、配下の者達を帰らぬ者にされてますからね。普通なら始末されてると思い至るでしょう。」

「…第2王女、エレオーラは無事だろうか?」

「…申しにくいのですが、絶望的かと。件の子供は帝国内で数十人の衛兵を平然と歌を口ずさみながら殺害したという情報を得ております。権力には屈しない人種だとするならば、第2王女殿下が身分を明かしたところでも助命の足しにもならないかと。むしろ、積極的に排除される可能性があります。」

「はぁー、一体何処で間違えたのやら。せめて、遺品だけでも回収出来んか?件の子供を刺激せずに。」

「…やるだけやってみます。」

「すまんの。」


side終




翌日、いつもはしないんですが昨夜刎ねた首を見てみます。首検分というやつです。それでは、黒頭巾を外しまして…人間男、人間女、狼獣人男、猫獣人女…ほぉ?耳はこういう感じなんですね?ふむふむ。あら?豚頭?豚獣人?オークというのかな?性別不明ですね。死体の服をひん剥けば分かる?嫌ですよ。だって、この世界の現地人不潔ですもん。今度は鬼っぽい男の人ですね。額から2本の三角円錐の角が生えてますね。お、初エルフ〜!やっぱ、かなりの美形ですね。うむ、この人は女性かな?こうやってみると経験値さん達は多民族国家の方々ですね。私が今いる帝国は人間以外は基本的に下に見られるの風潮なので仕事とはいえ、こんなに他民族がごっちゃになって一緒になることはありませんから。


…あらら、いつぞや助けた他国のお姫様も混じってましたね。そうですか。貴方が経験値さん達の元締めでしたか。これ、私のボーナスタイム終了ってことになるんですかね?もう少し、せめてあと5年くらい支援して欲しかったですね。残念です。


…コレが王女なら親である国王も同じ…いやいや、そんな愚王だったらすぐに滅んでますね。


とりあえず、王女様だけ焼かずに街道の目立つ場所に設置しておきますか。誰かが弔ってくれるでしょう。貴重品は貰っておきますがね。

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