第73話 名前
「うーん、この子の名前どうしよっかなぁ。」
私は、圧倒的な攻撃力で他のモンスターを蹂躙する巨人をクロの背に乗り眺めていた。
「進はなんか変なのの中に入っちゃったし、こっちは私だけでやるのかぁ……何だか誰にも見られてないって思うとやる気出ないかも…」
アイドル時代は常に誰かから声援を受けてたし、冒険者に戻ってからも私は常に注目の的だった。
そのせいなのかわからないけど、誰にも見られてない状況だとやる気が出なくなる。
まあ、だからといって私のやる気がないだけでスキルには何の影響もないし、モンスターは勝手に戦ってくれる。
戦う気が起きない私は新しく仲間になった巨人の名前を考えていた。
巨人ねぇ……モンスター名もわからないし、名前付け辛いなぁ…
巨人…大きい……ビッグ…なんか違うなぁ…そうだ!!!
「ギガちゃん、あの子の名前はギガにしよーっと。」
ギガントを省略してギガ。
これがあの子の新しい名前だ。
「ギガちゃん、そっちは粗方片付いたし他の冒険者助けに行くよ。クロは空の敵を倒してて。私はギガちゃんの肩に乗るから。」
私はクロの背中からギガちゃんの肩に飛び乗ると、他の冒険者の救援に向かった。
しかし、その道中で見落としていた弱点が露見してしまう。
ギガちゃん……足遅いなぁ…
ギガの移動速度が遅過ぎる。
図体がデカいお陰で一歩の歩幅は大きいのだが、なんせその一歩踏み出す速度が異常に遅い。
「う〜ん…パワーはあるんだけどこれは遅過ぎるよなぁ……———そうだ!!」
何かに閃いたキララは空を飛び回るクロに視線を向ける。
クロは優秀で空を飛び回るモンスターを確実に倒していく。
もはや空にモンスターは残っていない。
「クロ!戻って来て!!」
私の声を聞くとクロはその場で旋回し、私と視線を合わせる様にギガの肩付近に止まった。
「ねえクロ、私たちを影に入れれる?」
クロは首を縦に振って私たちの足元に影を広げた。
ギガの体はどんどん影の中に沈んでいき、とうとう全身が影へと収納された。
クロの移動速度とギガのパワーの融合。
影にギガを収納して敵の側まで接近、クロに足りないパワーはギガが補なって、ギガに足りないスピードをクロが補う。
最強のコンビネーションだ。
影から突然出て来たギガの存在に唖然とする冒険者たち。
「みんな、安心して!この子は仲間だから。みんなのお陰でなんとかなりそうになったよ!あと一息だし、頑張ろ!!」
「「「オォオォォオオオオ!!!!」」」
満身創痍の冒険者たちはキララの呼びかけによって息を吹き返した。
勢いを取り戻した冒険者とギガを手に入れたキララは止まらない。
一気に形成逆転し、キララたちの勝利で幕を閉じた。
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