第74話 パレードの終息
「お疲れ様です。進さん。」
「お疲れ〜」
「お疲れ様です。僕たちの方はなんとか片付きました。」
戦いを終えて一息着いていた俺の下に美玖・シェリア・シルの3人が戻って来た。
「そっちも終わってたか。じゃあ後はキララだけだな。」
「ちょっと、私も終わってるんですけど。はぁ…早く倒して進の手助けでもしてあげようかと思ってたのに…」
いつの間にか俺の背後にキララが立っていた。
こいつ、クロの影移動使ったな。
これで全員が揃った。
モンスターも全ていなくなっている。
「やっと終わりましたね。これからどうします?僕的には早く地上に戻りたいんですけど……」
「え〜、そんなのつまんないよ。なんか今調子良いし、このまま下層に進んじゃおうよ。」
「シェリア、我儘言うんじゃない!ダンジョンでは何が起こるかわからないんだから、無鉄砲に先に進んだら命を落とすことだってあるんだぞ!」
兄妹がこんな時にまた言い争いを始めた。
ほんの数ヶ月前にも同じ様な光景を見たが、前まではシェリアに言われたい放題で叱ったり出来なかったシルだったが、今では立派に自分の意見を伝えた上でシェリアをしっかり抑制出来ている。
いい兄貴になったな。
「美玖ちゃん、キララ、俺たちはどうする?」
今更だが、俺たち3人とあの兄妹は仲間ではない。
いや、仲間ではあったのだが正式にパーティを組んだ訳ではなく、今回の騒動を収める為に一時的に同盟を組んだだけに過ぎない。
その後のダンジョン探索は、また各々別行動に戻るのが至極当然だ。
「う〜ん、私は全然先に進むって言われたら着いていけるけど、地上に戻りたいかな。」
「私もです。流石にちょっと……魔法を使い過ぎちゃっ…て……」
突然、美玖ちゃんが前に倒れそうになったところを慌てて受け止める。
「す…すみません。ちょっと目眩がして……すぐに退きます。」
「大丈夫だよ。取り敢えず急いで地上に戻ろう。美玖ちゃんは少し休んでて。」
俺は美玖ちゃんを背中に乗せる。
「え…あの——ちょっと……」
「歩くのも辛いでしょ。いいからゆっくりしてて。」
美玖ちゃんがこの状態なら、いちいち上層に向けて進むのは危険だ。
だとしたら俺のスキルを使ってとっととワープした方が早いだろう。
その為には俺の体に触れていないといけないので、おんぶするのが手っ取り早い。
美玖ちゃんは恥ずかしいのか何か言いたげな表情をしながらも、俺の背中に顔を埋めた。
「シル、シェリア、お前らはどうする?地上に戻るならついでに送って行くぞ。」
「いいんですか!?ありがとうございます!ほら、シェリアも行くよ。」
「ちぇ、仕方ないなぁ。」
右手にキララ、左手にシルとシェリアが触れる。
「じゃあ帰るぞ。」
神出奇没を発動する。
5人の姿はダンジョンから一瞬にして消えた。
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