第55話 一撃必殺
「ちょっと、貴方も逃げないと危ないです…よ……って、進さん?」
「あ、ほんとに進だ。やっほー、久しぶり。」
こいつら、やっと俺に気付いたのか。
進は2人と並走する。
「お前ら、こんなとこで何やってんだ?てか、このモンスターの群れはどうした。また何かやったんじゃないだろうな。」
「何もしてませんよ!僕たち、あれから心を入れ替えたんです。こいつらにはいきなり襲われて僕たちだって困ってるんです。」
心を入れ替えたねぇ。
あんな事があったばかりだからどうにも信用ならないな。
そもそもこいつら、自分達の何が悪かったかも自覚して無さそうだし、そういうところが本当にタチ悪いんだよなぁ。
ヤバいな。
こいつらと話してると何だか助けたくなくなって来た。
やる気の無さそうな進を見て2人が焦り出す。
「わー、待って待って。見捨てないでよぉ。」
「本当にお願いします。僕たちを助けて下さい。2人だけじゃこの数は厳しくって…」
「厳しいって…お前ら、まさかこの数を倒す気でいるのか?」
ざっと見ても軽く100体は超えている。
過去に50体くらいのモンスターを相手取った事はあるが奴らはただの雑魚だった。
だが、今この場にいるモンスターの中にはそれなりに強い奴も混ざってる。
あの時とは条件が違う。
どう考えても真正面から戦うべきではない。
「逃げる準備は整ってる。後はこいつらが追って来ない様に少し牽制しておきたい。シェリア、いけるか?」
シェリアに視線を向ける。
「勿論。私、あの時よりだいぶ強くなったから進に見せたかったんだ。」
シャリアが微笑む。
彼女の拳から並外れたオーラが溢れ出す。
「一日に一回しか使えない必殺技だけど使っちゃっていいよね。行っくよ、スキル『一撃必殺』」
以前、俺たちといた時には持っていなかったスキルだ。この僅かな期間でレベルを上げたのか?一体どれ程の時間ダンジョンに潜っていたんだ…
以前俺が食らった猛虎翔掌もとてつもない威力だったがこれはそれの更に上。
軽く見積もっても3倍の威力はある。
モンスターの集団も異変を感じたのかシェリアに近付けないでいる。
だが、ここで進はある事に気付いた。
「なあ、あのスキルどうやって当てるんだ?」
力を溜め始めて随分時間が経つがシェリアは一歩も動かない。
もう十分力は溜まってるが動かないという事は、動かないというより動けないのだろう。
だとしたら、あの技はどうやって敵に当てるんだ?
その疑問にシルフィードが答える。
「あはは、それが問題なんですよね。でもまあ大丈夫です。見てて下さい。」
シェリアが右手を引く。
拳を振るう態勢に入った。
——来る!!
「確かに近ければ近い程一撃必殺の威力は上がりますが……あの程度の距離じゃ無意味です。」
拳を振るうと同時に大砲の様に巨大な風圧がモンスターの集団を襲う。
多数のモンスタが巻き込まれ、魔石が空から降り注ぐ。
「ふう…半分くらいはやったかな。どう?私、強くなったでしょ。」
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