第52話 和衷協同
キララを見たままその場で固まっている進に対し、斗真は肩を組んだ。
「おいおい、な〜に見惚れてだよ。もしかしてアレか。お前、ファンだったか?ハッハッハ、俺に感謝しろよ。そして敬え、褒め讃えろ。」
馬鹿みたいに高笑いしてる斗真を無視し、進は真っ直ぐ星川キララの元へと向かった。
「なんでこんなギルドに来た?今すぐ別のギルドに移った方がいい。君なら何処にだって入れるだろう。わざわざこんな馬鹿がギルマスやってるとこに来なくても……」
「あはは。やっぱりいいギルドだね。マスターとメンバーがこんなラフに話せてるギルドなんて滅多に無いよ。私、そういうギルド探してたんだ〜。此処を選んだ私の目は間違えてなかったね。これからよろしく。」
どうやら考え直す気はなさそうだ。
「つってもまだ正規採用じゃねえけどな。1週間試してみて、よかったら入るんだと。」
無視されて不貞腐れたのか、そっぽを向いたままそう語る斗真。
「このギルドって探索は貴方と美玖の2人でやってるんでしょ。私も混ざっていいかな?」
「まあそれは別に構わないけど……」
パーティを組むのは問題ないのだが、彼女の戦闘スタイルが気になる。
ぶっちゃけ、俺と美玖ちゃんの2人は遠距離と近距離が綺麗に分かれているので相性がいい。つまり、現状これが一番やりやすい形になっている。
そこに新たにキララが入る事で変に連携が崩れなければいいが……まあ、ギルドメンバーの数が少ない以上、俺たちと組まなければ1人で探索しなければならない。
今までソロだったから大丈夫だろうけど、それなら彼女がうちに来た意味がなくなる。
離れたところで魔導書を読んでいる美玖と目を合わせる。
「私も全然大丈夫ですよ。キララさんのスキル、サポート系らしいのでバランスも良いかと思います。」
「あれ?美玖ちゃんスキル教えて貰ったの?」
「はい。進さんが来る前にちょっとだけお話ししてたので。」
やっぱり女性同士ともなれば会話が弾むのか。美玖ちゃんが俺に気を許してくれるまでは時間がかかったから少し嫉妬するな。
まあ、それも彼女のコミュニケーション能力があってのものだろう。
キララに視線を向けると、何故か誇らしげにピースをしてきた。
意味がわからんが話を進めるか。
「俺にもスキル教えて貰っていいかな。」
「OK。全然大丈夫だよ。私のスキルは『千客万来』と『
そう言うとキララは指を鳴らす。
すると彼女の背後の空間が割れ、中から一羽のカラスが飛び出して来た。
カラスといってもただのカラスではない。
あれはダンジョン4階層に稀に出現するモンスター、
ユニークモンスターであり、その力はユニコーンと同格かそれ以上とされている。
そんなモンスターが何故ここに……
「あはは、そんなに身構えないでよ。もう帰すから。」
再度キララが指を鳴らすとファントムクロウは空間に呑まれ消えた。
「これが和衷協同。他にも何体か持ってるけど……どう?私使えそ?」
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