兄妹
第33話 休息
ユニコーン戦から2ヶ月後。
すっかり怪我も治り、日夜美玖とダンジョン探索を行っていた。
1ヶ月も働いて無かったんだ。
その分取り返さないと。
1ヶ月の療養期間のせいで俺の貯金はだいぶ少なくなっている。
その間、美玖ちゃんが好意でクエストの報酬を分けてくれたので生活に支障はなかったのだが……なんというか、年下の子からお金を貰うという行為は心が痛む。
このお金は絶対に返そう。
そう決意していた俺は怪我が治り次第ダンジョン探索に精を出している。
今月の俺の生活費と美玖ちゃんから貰ったお金の返済。ざっと見積もっても普段の倍は稼ぐ必要がある。
本当は俺1人でやろうと思っていたのだが美玖ちゃんがどうしてもついてくると言うので仕方なく彼女と同行しているのだが——
これじゃあ美玖ちゃんに無理させてるだけだよなぁ…
やっぱり、夜中にこっそり行こう。
「美玖ちゃん、今日はそろそろ帰ろうか。もう十分稼いだし。」
「いいんですか?私はまだまだ大丈夫ですよ?」
ここ最近のペースよりだいぶ早い時間に切り上げようとした事に美玖ちゃんが疑問を持つ。
美玖ちゃんと一緒に潜っていた方が効率がいいのは確かだ。
だけど彼女に頼っていては恩返しも何もあったもんじゃない。
「無理し過ぎても駄目だなって。今日は久しぶりに早く帰って体を休めようと思ったんだ。美玖ちゃんも休んだ方がいいよ。ここ数日俺に付き合って疲れたでしょ。」
笑顔でそう言う俺を美玖ちゃんがジト目で睨み付けて来る。
「進さん……なんか怪しいです。私に隠れて1人でダンジョンに来ようとか考えてないですよね?」
この子、意外と勘いいな。
付き合いも結構長くなるし、俺の考えてる事わかってきたのか?
まあ大丈夫。
美玖ちゃん相手なら強引に行けばなんとかなるし。
「まさか。普通に休みたくなっただけだよ。ほら、早く帰ろう。」
「……わかりました。でも、本当に休んで下さいよ。」
「わかってるよ。大丈夫大丈夫。」
ほら、なんとかなった。
美玖ちゃんが俺の事をわかってきたという事は、同時に俺も美玖ちゃんの事をそれなりにわかってきたという事だ。
少しは意見なんかも言う様になったが、それでもまだ内気な部分は変わらない。
誰かに対して強く出る事を彼女は出来ない。
美玖ちゃんとのダンジョン探索を終え、家に着いたのは20時。
まだまだ時間はある。
明日は10時にギルドに集まる予定だから……一旦仮眠とって4時くらいまでやるか。
もしかしたらだけど美玖ちゃんがダンジョン付近で見張ってるかもしれないし。
俺は直ぐ眠りについた。
その日は疲れが溜まっていたのか起きたのは5時。完全に寝過ごしてしまった。
美玖ちゃんはギルドに来るのが早いから外で出くわすかもしれない。
結局俺はダンジョンに行くのを諦めた。
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