第18話 4属性
信じられないものを見たかの様な目で俺を見る隆二。
「ど……どうして…さっきの魔法には雷属性が混ざってたんだぞ!テメエの避けれる速度じゃねえ筈だ!」
魔法には属性がある。
主な属性は火・水・雷・風の4属性だ。
稀に氷や光といった別属性の魔法を使える者もいるが一般的に使用者が多いのはこの4つ。
随一の火力を誇る火属性。
搦手を得意とし、技の幅が広い水属性。
速度と火力を併せ持つ雷属性。
殺傷力が最も高い風属性。
この中でも雷の魔法はその速度と威力の高さから最強と言われている。
魔法は基本1人1属性、多くても2属性となっているが隆二は3属性をコントロールしている。
彼もまた、紛れもない強者だ。
だが、俺には敵わない。
「そんなに気になるならもう一発撃ったらどうだ?」
安い挑発だと自分でもわかっている。
だが、奴相手ならこれで十分効果はあるだろう。
山岸隆二、あいつの弱点は精神的に脆すぎるところだ。
恐らくレベルなどは俺が負けてるだろう。
だが奴がこうも俺の思惑通りに動くのは思考回路がわかりやすく単純だから。
頭を使って戦えばいいものを、最初から俺を下だと見くびっていたあいつはそれをしなかった。
それどころかこの場をいいアピールになると思ったのか、自分のスキルを大勢の前で使いまくる仕末。
はっきり言って、どうしようもない馬鹿だ。
案の定、俺の口車に乗って来た。
「テメエ…いい気になってんじゃねえ!!今度こそ、確実に当ててやる!」
足元に蔓延る違和感を感じ、下を見ると足元が土で固められていた。
「はっ!3属性しか使えねえなんて誰が言ったよ!俺は、火・水・雷そして——土属性も使えんだよ!」
土属性、大地に干渉する魔法である為、膨大な魔力を必要とする。
4属性以外の属性はコントロールが難しく、魔力の消耗が激しい。
それにより、戦いの中で使える者はごく僅かだ。
まさか、この男が使えるとは……
駄目だ。足が動かない。
土と一体化してるというべきか、足が全く動かない。
「これで避けらんねえぞ。食らえ、三位一体!!」
再び放たれた魔法。
先程の一撃でその威力の高さは伝わっている筈。
しかし、それ程の危機が迫っているのにも関わらず、進の表情は変わらない。
爆発が巻き起こる。
最後まで進の動きを監視していた隆二は勝利を確信した。
「やった…やった…やったぞ!俺の勝ち……」
しかし、そんな彼の目に映ったのはまたしても無傷のままの進だった。
「どうしてだ…あそこから逃げ切れる訳が…」
「さあな。敵の能力もわからないのに、自分の力を曝け出し過ぎるもんじゃないぞ。」
剣を振りかぶり、そのまま叩き落とす。
柄の部分で殴られた隆二は気を失った。
その様子を見た受付嬢風のアナウンス女性が声を上げた。
「勝者——前山進!!」
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