第15話 闘技場
ギルド『叡智の女神』闘技場
ギルドから連結している通路を渡る事10分。
コロシアムの様なドーム状の建物が目に入る。そこが普段叡智の女神ギルドメンバーが使用している闘技場のようだ。
叡智の魔女ではギルド内ランキングと呼ばれるものがあるらしく、簡単にいえばギルド内で強い者をランキング形式に纏めたものだ。
この闘技場はそのランキングを決める為の決闘に使用されている施設。
そこに今、ギルドメンバーでもない俺が立っていた。
「なんだってこんな事に……」
俺の呟きに近くに居た叡山が反応する。
「まあまあ、いいじゃないか。ちゃんと報酬は準備するよ。」
「そういう問題じゃないんだけどなぁ。何で俺があいつと戦わなきゃいけないんだよ。」
「あの場に居たメンバーで私を除いて彼に勝てる可能性があるのが君だけだったからだ。」
意味がわからん。
そもそも他所のギルドを巻き込むなと言いたいんだが…
この男、絶対わざと俺とあいつを戦わせるように誘導しやがった。
じゃなきゃあんな一番面倒なタイミングで出てくる訳がない。
一体、何が目的なんだか……
「過ぎた事は仕方ない。因みに聞いておくが報酬は何だ?」
「現金10万円でどうだろう。勿論、振り込みでも構わない。」
「オッケー、全力で相手をさせて貰う。現金でいいぞ。」
こんなんで10万も貰えるなんて。
もしかして叡山はいい奴なのかもしれない。
間もなく試合開始だ。
両者ともに、闘技場の中央に集まる。
ヤンキーの武器は俺と同じ剣。
間合いはほぼ同じ。
だとすれば、手の内が知られてないスキルが決め手となるな。
俺の現在のレベルはランク2の3。
先程のパワーから想定するに、目の前の男はそれ以上と見て間違いないだろう。
よくてランク2の後半。
もしかしたらランク3に到達してるかもしれない。あの男は間違いなく強敵だ。
「間もなく決闘を始めます。対戦者はギルド『叡智の女神』所属、
場内にアナウンスが入る。
この声はあの受付嬢だ。
周りを見渡せばちらほらと人影が見える。
どうやら見物人もいるみたいだな。
「妙な事になったけど、まあよろしく。」
右手を差し出す。
しかし隆二がその手を取り事はなかった。
差し出した右手は無惨にも払われてしまう。
「うっせぇ!ぜってえ、ぶっ殺してやる。」
物騒な奴だな。
こいつ今、殺すって言いやがった。
モンスター討伐とは違うんだぞ。
この男ちゃんと理解してんのか?
対人戦と対モンスター戦の違い。
それは単純に非殺かどうか。
普通に考えたらわかる事だが、対人戦では相手を殺さない様に細心の注意を払わなければいけない。
ただ闇雲にやればいいというものではない。
こいつがちゃんとわかってればいいんだけど…
どう見ても頭に血が上り過ぎている。
少し警戒しといた方が良いかもな…
2人が剣を構えると同時に会場は静まり返った。
空気が重い。
「それでは——決闘開始!!」
決闘が始まる。
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