第2話 2人の出会い
今日も今日とてスライム狩りの日々を送っている。
スライムはダンジョン内で最弱のモンスターだ。攻撃力もなければ防御力もない。ただぴょんぴょん跳ねてるだけのゼリー状のモンスター。
剣を振るう。
何度も何度も。
俺は火力もないから1体を倒すのにも時間がかかる。
その上レベルも低いからあまりモンスターが出ない始まりの草原で狩りをする様にしていた。
ダンジョンは奥に進めば進むほどモンスターが強くなっていく。
そして各階層の一番奥に辿り着くと下層に繋がる階段があってそこから下へと進める。
パリンとスライムの体が砕け散る。
これで10体目。
今日のノルマもクリアだ。
クエストも達成したし一旦ギルドに戻ろう。
今日は時間もあるし久しぶりに下層にでも行ってみるかな。
腕時計を見ると時刻は午前11時。
朝から潜っていたお陰で時間も有り余ってる。
俺は人よりも3倍は努力しないといけない。
そういうスキルを背負っているから。
こんなスキルが無かったら今頃ランクアップしてそれなりの生活を送れただろうに…
冒険者はレベルが10に達した時、ランクアップという現象が起きる。
ランクアップすると新しいスキルを得る事が出来る。
冒険者の強さとは殆どがスキルで決まるといっても過言ではない。
たった一つ増えるだけでその人物の戦闘力は何十倍にも膨れ上がると言われている程だ。
俺はランク1の冒険者。
後少しでレベル10になるがその瞬間8に落とされるので後7レベル上げないといけない。
はぁ、ランクアップへの道は遠いなぁ。
ギルドのドアを開ける。
すると目の前には衝撃の光景が広がっていた。
な……なん……だと……
いつも怠けてる斗真が仕事をしてる。
一丁前に髭も剃ってるし身嗜みがなんだか小綺麗だ。
しかしそんな事よりも驚くべき事がある。
人がいる。
俺と斗真以外の人間がこのギルドに。
背は150cmくらいだろうか。
綺麗な黒髪だ。
華奢な体でとても冒険者には見えないが一体何の様だ?
ドアの前に立ち尽くす俺に斗真が声をかけてきた。
「やっと帰って来たか。おい、この子今日からこのギルドに入った新人な。仲良くしろよ。」
女性が俺のいる方へ振り返る。
その瞬間、俺は初めて彼女の顔を見てこう思った。
可愛い——と
大きく吸い込まれそうなつぶらな瞳。
今時の子にしては珍しい純朴で可憐な見た目をしていた。
はっきり言って俺の好みどストライクな訳だが……歳の差が離れすぎてるので恋愛対象ではないな。
ぱっと見だが彼女の年齢は18〜20。
最低でも5つは離れてる。
この感情はなんていうか……保護欲。
犬とか猫みたいな小動物を護ってあげたくなる感情に似てるな。
「あ…あの……
辿々しい挨拶。
緊張しているのが丸わかりだ。
これが俺と彼女の出会いだった。
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