その9 強敵の登場

 マイナたちを助けるべく"終末教"に乗り込んだレナードたちは、

広間に捕らえられていた皆を発見するが

待ち構えていた複数の人間に襲われる。



「いいわね? こいつらは私が引き受けた、

あんたたちは隙をついてあのジジイを押さえなさい。」



 ルビーは小声で指示を出すと一歩前に躍り出る。


 そして周りを囲む集団に向かって大きな声でこう言い放つ。



「あんたたち、私が全員まとめて相手してあげるわよ!

ビビってないでさっさとかかってきなさい!

それとも怖いのかしら? だったらこっちから攻めてあげるわ!」



 ルビーは啖呵を切りながら秘宝の力を解放すると、

素早い動きで敵の集団に飛び掛かる。


 2度3度、軽く敵を切りつけ

囲まれないようにすぐ飛び上がった。


 そして天井を蹴って今度は別の集団へ襲いかかり、

相手の注意を惹きつつ連携を乱そうとする。



「な、なんだこいつ! とんでもない早さだ!」


「み、みんな1か所に固まって迎え撃て!

バラバラでいたら恰好の的だ!」



 ルビーの奇襲にひるんだローブの人間たちは、

体勢を立て直そうと集まっていく。


 そしてその隙に、レナードとドロシーが

ズィアークの方へ駆け出した。



「ルビーの奴、ようやくあの秘宝を使ったかい。

道中ずっと温存していたようだったが・・・。」


「狭い通路で使うのも、連携を取るのにも向いてませんからね。

それよりあのズィアークって人の元へ急ぎましょう。

ルビーさんがいつまで保つか分かりません。」



 ローブの人間たちを交わしつつ、

レナードたちはズィアークの元へたどり着く。


 しかし、そこにはまだズィアークのほかに

ローブを来た側近らしき人間が二人いた。


 そのうちの片方が、柄に宝石を付けた刀身が緑色の剣を抜きながら

レナードとズィアークの間に立ちはだかる。


 無論、二人は決してひるむことなく

ルビーにならって啖呵を切った。



「・・・マイナさんたちは返してもらいます。」


「そして貴様たちのような集団は

即刻解散してもらおうか?」


「ほほう。 言いよるのう。

一人で全員を相手にしようとするあの女といい

随分と剛毅な連中じゃな。」



 ズィアークは椅子に座ったまま

レナードとドロシーを見下ろしており。

焦る素振りすら見せていない。


 それどころか、これから始まる戦いに

胸を躍らせているようにすら見えた。



「しかし我らが滅びることは決してない。

例え私が死のうとここにいる全員がやられようともな・・・。

じゃが今回はそうはならんじゃろう・・・。 のう、カイルよ?」


「・・・はっ!」



 ズィアークが呼びかけると、

レナードたちを牽制していたローブの人間、

カイルが更に一歩前に出る。


 二人は相手が完全に臨戦態勢だと察し、

レナードが前に出て、ドロシーが一歩下がった。



(・・・こうして構えたらはっきりと分かる・・・。

この人、強い・・・!)



 相手の力量が恐らく自分以上であると感じ、

レナードの額に一筋の汗が落ちる。


 果たして、レナードたちは

強敵を退けることができるのか。

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