その2 追跡開始

 レナードとルビーが留守の間に、

マイナやユカたち三姉妹が謎の黒ローブ集団に

攫われてしまう。


 辛うじてその手から逃れたドロシー、

そしてレナードとルビーが敵の一人をなんとか捕まえた。


 彼女たちを助けだすには

そいつから何かしらの情報を吐かせなければならない。



「さて、今は時間が惜しい、前置きはなしで

さっさと尋問にかかろうじゃないか。」


「我々は仲間を裏切ったりしない。

何をされたところで仲間の場所は白状しないぞ。」



 ドロシーの魔法で拘束されたローブの人間は、

縛られた状態で座らされつつも堂々と言い放つ。


 しかし、ドロシーは鼻を鳴らすと

相手のローブをめくりながらこう告げた。



「生憎と白状してもらわなくていいんだ。

私にはある"秘密"があってね。」


「秘密だと? その胸のことか?」


「それもあるが、私は自分の秘密と引き換えに

他人の情報を得ることのできる『女神の祝福』を持っているのだよ。」


「秘密と引き換え・・・? ま、まさか・・・!」


「<エクスポーズ>」



 ドロシーの瞳が妖しく光りながら、

敵の瞳をまっすぐに見る。


 そして光が収まると同時に、

ドロシーはローブの人間から離れていった。



「ま、待て・・・! 貴様、何をした・・・!?」


「お前に教える義理はない。

さて二人とも・・・、特にルビーはもう大丈夫か?」


「大丈夫よ・・・、それで、情報は・・・?」


「ああ、知りたいことは分かった。」



 ドロシーは側で休んでいた二人の方へ歩み寄ると、

『女神の祝福』を使って手に入れた情報を伝える。


 ここからやや東よりの北方向へ二日ほど進んだ先にある洞窟、

その奥で儀式を行うと。



「私が祝福持ちだという秘密を対価に引き出せた情報はここまでだ・・・、

すまない、やはり一番の秘密であるこの胸を知られている相手では

細かく知ることはできなかった。」


「充分よ。 さあ、場所は分かったことだしすぐに行きましょう。

運が良ければ追い付けるかもしれないわ。」


「さすがにそこまで上手くはいかないと思いますが・・・、

でも手がかりがあるだけでもかなり・・・。」


「問題ないわ。 そこなら心当たりがあるもの。」


「・・・えっ? 本当ですか!?」


「ええ、これでいろいろと合点がいったわ。

なぜ奴らがここにいるのか、

どうしてうまく見つからずに隠れていられるのか・・・。」



 ルビーは立ち上がると物置にしている建物へ入り、

中から秘宝を持ってくる。


 彼女が『おっぱい怪盗』をやっていた時に使っていた、

素早く動けるようになる『疾風の秘宝』という魔法の道具だ。



「あいつらが拠点にしているのは・・・、

恐らく『ダンジョン』よ・・・。

それも私がこの秘宝を手に入れた場所ね。」



 ルビーの言葉に、レナードとドロシーが静かに驚いた。

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