その6 三姉妹の疑問

「ただいまー、みんないい子にしてたかしら?」


「お姉ちゃんおかえり~。」


「おかえり・・・。」


「お帰り姉さん、思ったより早かったのね。」



 モンスター狩りに出かけたレナードとルビーは

何事もなく拠点へと戻ってくる。


 収穫の入った袋を見せながら、

ルビーが出迎えてくれた三姉妹に笑顔を見せた。



「まあね。 二人でやるとやっぱり早かったわ。

それで見てよこれ。 今日はかなりの肉が手に入ったわよ。」


「それ全部~? わ~、すっごいね~。」


「グラスボアの肉、楽しみ・・・。」


「でも、またこんなにグラスボアが

近付いてきてたのね。 大丈夫かしら。」


「心配しなくても、群れをまるごと仕留めたから

当分近寄ることはないわ。

ところでお勉強の方はどうだったの?」


「う~ん、まあ順調だったんじゃないかしら。

まだ一日目だから何とも言えないけど・・・。」


「お料理楽しかったよ~♪」


「勉強、ためになった・・・。」


「それなりの手応えはあったみたいね。

あとでマイナたちにも聞いてみましょう。」



 お互いに報告がいろいろとあるらしく、

自然と会話が弾むルビーたち。


 ルビーが三姉妹と話をしている間、

レナードはマイナたちに声をかけた。



「マイナさん、ドロシーさん、ただいま。

ルビーさんがすごかったから、

今日はいろいろと手に入りましたよ。」


「お帰りレナードくん。 あらすごいじゃない。

これだけあれば当分は大丈夫、

というか食べきれそうにないわね。」


「けっこうありそうだね。 保存食にして置いておくか、

あるいは町へ卸に行くというのはどうだい?

入れるかどうか分からないが・・・。」


「できればいろいろ買わなきゃいけないものがあるから、

なんとかして町へ行けないか考えましょう?

いざとなったらレナードくんに背負ってもらうわ。」


「それは・・・、まあ、いざとなったらやりますね。

あ、お肉を乾燥させるなら手伝いましょうか?」


「大丈夫よ。 レナードくんは帰って来たばかりだし

ちょっと休んでたら? こっちは私とドロシーでやっておくわ。」


「ようし、名誉挽回と行こうじゃないか。

・・・実は本日の料理講座で私が一番成績が悪くてね・・・。」



 苦笑しながらそう告げるドロシーだが、

それなりにやる気にはなっているらしい。


 そんなことをあれこれ話していると、

いつの間にか会話を切り上げたらしく

ルビーが話に入って来た。



「ちょっといいかしら? この肉をどうするかっていうのと

あの子たちのお勉強はどんな感じか聞きたいんだけど・・・。」


「ああ、さっき私たちでも話してたの。

お肉は使う分だけ料理して、

残りは保存食にして町へ売りに行ければって思ってるの。」


「あら、話が早いわね。 それなら私が行きましょうか。

ドロシーから秘宝も返してもらったし、

町の壁を上ってこっそり入ることもできるわ。」


「あ・・・、じゃあその時に僕も

一緒に行っていいですか?」


「・・・ああそういうこと。

人探しをしたいのね? いいわよ。」


「良かった、ありがとうございます。」


「話も決まったようだし、

今日の授業について話しておきましょうか。

ついでにこっちも手伝ってもらえる?」


「干し肉を作るぐらいならまあできるわ。

じゃあいろいろと聞かせてもらうわね。」



 ルビーはそう言うと、自分の荷物を下ろして

三姉妹のことをあれこれ質問する。


 レナードは、話の邪魔をしないよう

牙などの売り物になる部分を保管しに行った。



「あっちが食べ物を置く場所で、

こっちがそうじゃない物を置くんだったよね。

・・・これでよし、と。 じゃあちょっと休もうかな・・・。」



 無数にある廃墟の中で、埃の少ない場所を選んで寝転がるレナード。


 大きく体を伸ばすと、一息つきながらあれこれと考え出す。



(お姉ちゃん、どこにいるのかなあ。

無事でいるといいんだけど・・・。

もし捕まってたら助けてあげないと。)


(ムルの町にも行ってみよう・・・。

早かったら3日後ぐらいには探しに行けるかな。)



 探し人である幼馴染のお姉ちゃんについて考えながら、

うとうとし始めるレナード。


 しかしまどろみ始めて数分ほど経過したところで

不意にすぐ側から声がかけられた。



「ねえ、起きて~?」


「わっ、えっ? あれっ?」



 慌てて目を開けると、いつの間にか三姉妹たちが顔を覗き込んでいる。


 レナードは上体だけ起こすと、何かあったのか三姉妹に問いかけた。



「あの・・・、どうかしたんですか?」 


「・・・あなた、今朝の話、本当?」


「今朝の話・・・?」


「ほら、あれよ・・・、レナードって言ったっけ、

あなた、巨乳の女の人が怖くないって。」


「あ。それは・・・、まあ、そうなんですけど・・・。」


「本当かな~? 私たち、今までそんな人に

出会ったことないんだよね~。」


「私たちと同じ巨乳の人以外は・・・、

みんな私たちをとても怖がる・・・。」


「あなたはこうして私たちとも、

あの人や姉さんたちとも普通に話をしてくれるみたいだけど、

内心では怖いとか思ってないの?」


「・・・怖くありません、それは本当です・・・!」



 三姉妹の質問に対し、

レナードは真剣な表情ではっきりと肯定する。


 胸の大きな女性、マイナやドロシーがどんな扱いをされてきたか、

それを見ていた彼は、彼女たちが何を気にしているのかなんとなく理解あした。


 心の中では恐れられていることを恐れているのだと考え、

怖がっていないことを精一杯伝える。


 すると、話の展開はとんでもない方向へ進んでいった。



「本当に? 今一つ信じられないわ。」


「本当ですよ。 じゃあ・・・、どうしたら信じてもらえますか?」


「えっ? ・・・う~ん、そうねぇ・・・。 じゃあ・・・、

これ、触ったりできる?」


「・・・えっ?」



 そう告げるはユカ、自分のおっぱいを軽く持ち上げていた・・・。

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