その2 おっぱい三姉妹

 三人が案内されたルビーのアジトとは、

ムルの町を目指していた時に通った

廃墟と化した町だった。



「ここは・・・、もしかしてあの時に通った町?」


「暗くてよく見えないけれど、

こんな森の中に建物がいっぱいあるなんて

あの町しか考えられないわよね。」


「ここがルビーのアジトなのかい?

通った時にはさっぱり分からなかったな・・・。」


「ふぅん、やっぱりここに近付いたのはあんたたちだったんだ。

じゃあ焦る必要はなかったのかもね。

まあいいわ、それで悩みっていうのは・・・。」



 ルビーはそんなことを言いながら町の中に入っていくと、

入口の近くで大きな声を出す。



「みんなー、帰ったわよー!

今日はお客さんがいるからびっくりしないでねー!」


「お姉ちゃん、帰って来たの~?」


「良かった・・・、いつもより遅いから心配してたわ・・・。

でもお客さんって、誰?」


「姉さん、無事だったのね。 ここに人を連れてきたの?」



 ルビーの呼びかけに応えながら、

三人の女の子が古い建物から顔を出す。


 まずはルビーの方に駆け寄ってあれこれと話した後、

レナードたちの方へ恐る恐る近付いてきた。



「お客さんってこの人たち~? いったい誰なの?」


「見たところ普通の人・・・、理由が分からないわ・・・。」


「背の高い女性が二人と、背の低い・・・、

きゃっ! 男の子じゃない、姉さんどういうこと!?」


「とりえずこの人たちは大丈夫だから、

中で話をさせてちょうだい。 あ、ご飯はもう食べた?

新しいのはちゃんと取ってきたから好きなの食べていいわよ。」



 ルビーはそう言って背負っていた袋を女の子たちに手渡しつつ、

レナードたちにも中へ入るよう促す。


 予想していなかった事態にそれぞれが顔を見合わせながら、

ひとまずレナードたちもルビーへ続いた。


 そして建物の中に入り、

ルビーがこれまでのいきさつを女の子たちに話す。



「じゃあ、この人たちが昨日ここを通った人なんだ。」


「あいつらとは・・・、関係がないの・・・?」


「良かった~。 それならここを離れないで済むんだよね。」



 あちこちに穴が開いているものの

その全てを布で塞いだ部屋の中、七人が話をしていた。


 それぞれ初対面の者同士は、

明かりに照らされた互いの顔を見合わせる。


 ルビーのアジトにいた三人の女の子は、

分かりやすく三姉妹といった姿をしていた。


 それぞれ明るい色の赤髪であり、

見事に身長が三段階で別れている。


 一番背の高い女の子はまっすぐに伸ばした髪が肩にかかる程度で、

二番目の女の子は波打つような髪が腰まであり、

そして三番目の女の子は肩までかかる程度の髪と、頭上で左右に結び目がついている。


 全員が同じように長い袖と長いスカートの服を着ており、

エプロンのような前掛けを付けている。


 そして・・・、マイナたちよりも少し若く見えるものの、

三人揃って同じくらい大きいおっぱいを持っていた。



「これは驚いたな・・・。 巨乳の女の子が三人も・・・。

私たちより少し小さいぐらいか・・・? 充分に大きいな。」


「世界は広いわねえ・・・。 旅を始めてから

巨乳の人とこんなに出会うなんて、思っても見なかったわ。」


「私もだよ。 なるほど、ルビーが説明を渋るわけだ。

ここに巨乳の女の子が三人も待ってるだなんて

言われたところで信じられるはずがない。」


「もしかしなくても・・・、ルビーが怪盗をしてたのは

この子たちのためだったの?」



 ルビーの持って帰った食べ物を手にする三姉妹を見て、

マイナが問いかける。


 ひとまずレナードたちが危険な存在ではないと分かったためか、

安心したように食料をほうばっていた。



「そうだよ~。 お姉ちゃん、私たちのために

何度もご飯を取ってきてくれたの。 もぐもぐ。」


「私たち・・・、ここを離れられないから、

とても助かってる・・・。 はぐはぐ。」


「どっちにしろこの胸じゃ町へはいけないものね。 ぱくぱく。」


「三人とも、食べながら話さないの。 お行儀悪いでしょ。」


「お腹が空いてるようだから、私たちは構わないでくれ。

・・・ところで三人とも名前は?」


「私はユカ、この子たちのお姉ちゃんよ。」


「私はミカ、真ん中・・・。」


「私は~、チカだよ~。 ねえ、二人ともおっぱい大きいってほんと?

見せて見せて~。」


「あら、そうね・・・。 いい加減窮屈だし、外しちゃおうかしら。」


「そうだね。 ちゃんと証拠を示す必要もありそうだし。」



 そう言うと、マイナとドロシーは服を脱いで

胸を押さえつけていた布を外していく。


 マイナたちが服を着直すまで

レナードは必死に余所を向くのだが、

三姉妹が二人の胸をじろじろと見るためになかなか終わらない。



「わ~、すご~い。 ほんとにおっきい~♪

やっぱりお姉ちゃんぐらいある~♪」


「驚いた・・・。 ほんとに大きいんだ。

・・・仲間ができたみたい。」


「やっぱり胸の大きな人って結構いるものなのね。

私たちもいつかこれぐらいになるのかな・・・。

今でさえ重たいのに、肩が凝りそう・・・。」


「そうね、なかなか大変よ。

あなたたちもきっとこれぐらい大きくなるでしょうね。」


「私も君たちぐらいのときはそのくらいだったかな・・・。

というか、今も少しずつ増え続けてるから

私も私でこの先を考えるのがね・・・。」


「そういえば私も去年より少し大きくなったかも。

いったいどこまで膨らんじゃうのかしら・・・。」



 自分たち以外の巨乳に興味津々の三人に対し、

マイナとドロシーも同じ境遇の人間としての会話が弾んでしまう。


 レナードはどんどん居心地が悪くなっていたものの、

そこへルビーが声をかけて来る。



「目を逸らしちゃってどうしたのよ。

あんた巨乳は怖くないんじゃなかったの?」


「こ、怖くはないですけど、その・・・。」


「ん~? ははぁ・・・。 さてはあんた、

怖いどころか好きなんだ? 大きなおっぱいが♪」


「あ、それはその・・・。 えっと・・・。」



 顔を赤らめるレナードの様子で確信したらしく、

ルビーが楽しそうな笑みを浮かべる。


 そして他の者に聞こえないようこっそりと顔を近づけ、

こんなことを耳打ちした。



「ねぇ、私のお願い聞いてくれたら、

おっぱい見せたり触らせたりとかしてあげようか?♪」


「な、な、何言ってるんですか、そんなこと・・・!」


「なによ、私のだけじゃ足りないっていうわけ?

仕方ないわねぇ、ならあの子たちのも追加しましょうか?

あんたが巨乳好きだって知ったら、三人ともきっと面白がるわよ。」


「い、いいです・・・! いりませんから・・・!」


「あら、悪い取引じゃないと思うけどなー?

それとも奥手そうに見えて

毎晩あの二人の胸を好き放題してるから必要ないとか?」


「そ、そんなことしてませんよ!!」


「ちょ、声大きいわよ、んもう、冗談が通じないわねぇ。」



 レナードが大声を出したことで

全員の注目を集めてしまったため、

ルビーはさっさと離れてしまう。


 そして三姉妹の方を向くと就寝するように促した。



「もうお互いの紹介は済んだみたいね。

じゃあそろそろあんたたちは床に就きなさい。」


「え~、まだ起きてる~。」


「私は・・・、もういいかな・・・。」


「そうね、もう寝ましょう。

ほら、チカもベッドに行くわよ。」


「ぶ~、・・・おやすみなさ~い。」



 ルビーの言葉に従い、三人は別の部屋へと移動する。


 きちんと移動したのを確認すると、

ルビーは改めてレナードたちと話し合いを始めた。



「こほん・・・、じゃあ、そろそろ本題に移りましょうか。」


「ああ、ようやくかい。

それで、私たちに何を解決して欲しいのかな?」


「見ての通り、現状よ・・・。 私たちが・・・、

あの子たちが生きるための知恵を貸して欲しいの・・・!」



 今までにない真剣なルビーの言葉に、

その場の全員が息を呑んでいた・・・。


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