第70話 3つ巴対決(2)
ーー再び、ガイウス大公国軍の陣
「何故だ。補給部隊が到着しないぞ。」
中年の厳つい武将−ガリウ・スリランド男爵が落ち着きをなくし苛ついている。
そして、ガリウは号令を発した。
「これより出陣する。
補給部隊が襲われている可能性があるためだ。ついてこい!」
「「「はい・・・」」」
「何だその返事は!舐めてるのか!!」
「「「はっ!」」」
ガリウの配下の兵は疲れが酷いと他人でも分かる程顔色が悪く、士気も低い。
ガリウの無茶振りは今回だけではないようだ。
無論、今回の出陣もガリウの独断であり軍議で決めたことでもなく
許可を得ているものでもない。
「行くぞ!」
馬を走らせるガリウに疲れきっている兵たちはついて行くふりをして
どこかへ逃げていった。
そんなことは知らずガリウと取り巻きは補給部隊が襲われた場所に着いた。
「まじかよ・・・」
無惨に殺された補給兵たちの亡骸が散乱している。
その亡骸の山を馬で踏み潰しながら奥へ進むと・・・
「放てー!」
「「「おー!」」」
弾や矢が大量に放たれ、ガリウの近くにいた取り巻きを貫く。
「小癪なことを・・・!」
慌てて剣を抜き振り回すが安定せず刃は誰にも当たらない。
「覚悟!!」
「っ!」
背後にいた兵士に背中を斬りつけられ落馬し、地面に身体がぶつかった瞬間
首の上から刃が振り下ろされガリウの首が切り落とされた。
「厄介払いができてよかったですな。」
「ああ。そろそろこやつの所業に耐えられぬころだったし、
この国に仕えてやる気もなくなってきたからな。
我が子爵家唯一の穢れが消えて肩の荷が降りた気分だ。」
身なりのよい男とその家臣らしき男が話している。
身なりの良い男はガリウの身内のようだ。
ガリウの悪名は身内であるこの男−エレオス・スリランド子爵も巻き添えを
喰らっていたらしく、能力はあるもののガイウス大公国の中では
あまりいい扱いを受けていなかったようだ。
そこで、エルヤ帝国に寝返りガイウス大公国の情報と引き換えにエルヤ帝国の
伯爵としての地位を手に入れた。
そして、エルヤ帝国に渡した情報のうちのひとつが補給部隊のルートである。
そこでエルヤ帝国軍はガイウス大公国の補給部隊を待ち伏せて壊滅させ、
その後もその場に留まった。
その間エレオスはガイウス大公国の陣にいることでアリバイをつくり
ガリウを追いかけるという名目でガリウを追いガリウが現場に着いたところで
正面からはエルヤ帝国軍が、背後からはエレオスらがガリウらを殺した。
そして、エレオスは陣に戻り補給部隊が壊滅していたこと、ガリウは自分が
着いたときには既に殺されていて彼らを殺したのは
ブルーイン帝国軍だという嘘の報告をしエルヤ帝国の関与を
知られないようにした。
こうして事実は闇に葬られた。
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前回の更新から1ヶ月以上も経ってしまい申し訳ありません!!
予定が入ったりネタが思いつかずいつのまにか4月になっていました・・・
これからも頑張りますのでよろしくお願いします!
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