第65話 不穏な空気(2)

「戦の準備、完了しました。」


「そうか。」


東サリサ共和国は西サリサ共和国よりも少しだけ領土が広いが、

それをさらに広げようとしていた。


「明日出発だ。皆に伝えておいてくれ。」


「はっ」



ーー翌日


「出陣!」


「「「おー!」」」


東サリサ共和国軍が西サリサ共和国に侵攻を始めた。


しかし・・・



なんと、睨み合いになったのである。



ーー西サリサ共和国軍本陣


「あいつら、全然攻めてこねぇな。」


「ああ。最初は威勢よく突っ込んできたくせに。」


最初は東サリサ共和国軍が優勢で、勢いよく攻めていたが

西サリサ共和国軍の援軍が到着すると一気に勢いを削がれ、睨み合いになった。


「こんなん時間と金と兵糧の無駄だ。」


「はよ終わらんかなあ・・・」



ーー1時間後、東サリサ共和国軍本陣


「くそっ。もう1時間経ったのに・・・」


「このまま戦えば負けるのは目に見えている。

 撤退した方がいいんじゃないか?」


「ああ。上官に相談してみよう。」



そして・・・


「撤退だー!」


ついに、東サリサ共和国軍が撤退し戦いが終わった。



ーーその翌日、東サリサ共和国


「みっともない!」


「申し訳ございませんでした!!」


東サリサ共和国のリーダー的立場のロッヂ公爵は怒り狂っていた。

何故かといえば、撤退したからだ。我が軍の恥だ。とか言っている。


「次は必ず勝ちます。どうか、お許しを!!」


「言ったな。次は勝つと。次はないぞ。」


「はっ」



ーー翌日


「私は西サリサ共和国の領土を奪うのではなく、領土を広げればいいと

 思いついた。だから、明々後日に南の湖の近くの先住民の村に侵攻し、

 制圧する。準備をせよ!」


「「「はっ」」」



ーー3日後


「いざ、出発!」


「「「おー!」」」



ーー1時間後、南の湖畔の村


「かかれー!」


「「「おー!」」」


「長老、お逃げください!!」


ビシュッ


「逃すか!」


ルーズは長老と呼ばれた老人の首を刎ね、長老をにがそうとした

女性の背を斬りつける。


「皆殺しにせよ!子供は奴隷にせよ!!」


ルーズは叫びながら住民達を切り捨てる。


「火を放て。」


指揮官が火を放つように命じる。


「はっ」


ルーズは短く返事をすると、松明を受け取り村の中央付近に投げる。


火はパチパチと音を立てて燃え始め、やがて村は業火に包まれた。

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