第63話 奸臣と忠臣(4)

ウィヴァル伯爵家第2騎士団所属のグラン・ピージ 対

エルデン伯爵家当主、フリント・エルデンの一騎討ちが始まった。


ガキっ


剣同士がぶつかる。

そして、そのまま馬を進める。


「うぉぉぉ!」


グランが馬から飛び降り、そのままの勢いで刀でフリントを袈裟斬りに

しようとする。


しかし、フリントは馬から転げ落ちるように降りる。

幸い、受け身はとっていたため怪我はなかった。


そこに、グランがフェイントを交えた高速の突きを3発放つ。


「くそっ」


1発を避けられず、左腕にかすってしまった。

グランはそのままの勢いで上段から刀を振り下ろす。

ギリギリのところで剣を使い受け止めたが、このままだと押し切られてしまう。

そう考えたフリントは思い切り左足を振り上げ、蹴りを放った。

鎧があるから殆ど効かないだろうと思っていたのだろう。

グランは余裕の表情を浮かべていた。


しかし次の瞬間、その顔が苦痛の色に染まる。

フリントは鎧の継ぎ目を狙って蹴りを放ったため、鎧の継ぎ目の

無防備な部分に当たったのだった。


「ぐっ」


フリントは剣で薙ぎ払うが、間一髪のところで後ろに跳んで避けられる。

そして、グランは一度刀を鞘に戻した。


それをチャンスと見たのか、フリントは一気に間合いを詰め斬りかかる。


しかし、それはグランの思う壺であった。


間合いを詰められた瞬間に刀を抜きながらそのままの勢いで

フリントを斬りつける。居合だ。


「ぐはっ」


「覚悟!」


グランがトドメの一撃を放とうと刀を振り上げる。


しかし、その一撃が放たれることは無かった。


グランの頭に、矢が刺さっていた。革新派の兵が放ったものだ。


一瞬、その場は水を打ったように静まり返る。直後、大乱戦が起きた。


しかし、保守派の兵はヤケクソになって突撃しているだけだ。

戦略も何もない、ただ突撃するだけの殺戮人形である。


「退け、退けー!」


流石にまずいと感じたのだろう。

革新派の兵が撤退し始めた。


そして、その勢いで保守派はサリサ共和国の領土の半分を掌握した。


こうして、革新派の西サリサ共和国と保守派の東サリサ共和国に分かれた。



ーー1週間後、東サリサ共和国のある村では


「ああ、でっかくなりてぇ。こんな生活、耐えられるか!」


ある農民が叫んでいた。彼はルーズ。しがない農民だ。

前の戦にも強制的に参加させられていた。そこで、親友2人のうち片方を失った。

そんな彼は、精神がおかしくなりかけていた。


「母さん。俺、正規の兵士になる。」


「え!?あんた、正気?!」


「絶対に出世してやっから、頼む!」


「分かったわ。絶対に死なないでよ。」


「分かってる。明日には出発するから。」


「じゃあ、村の皆んなに伝えるから今日は皆んなでご馳走を食べよう。」


「ありがとう。」


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更新が遅くなってすみません。

さて、彼はどうなるのか・・・

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