第61話 奸臣と忠臣(2)

ーー翌日


「これを渡しますから、どうにかお願いしますよ。」


「・・・ 仕方ないですね。こんな物見せられたら無碍にできないじゃないですか。」


革新派筆頭であるエルデン伯爵の家臣がロッヂ公爵家の騎士団長に渡したのは、

貴族・王族界隈で有名になっている日本刀と、サリサ共和国の首都の

豪商などの上流階級で流行っている生菓子であった。


つまり、伯爵の家臣の目的はこれらの品を使い、彼を秘密裏に

買収しようということであった。

理由は、彼の重臣という立場故に今回の謀反に関する情報も

手に入れやすいと踏んだからである。

さらに、彼の武名は首都の政府の人間からも一目置かれている。

そのため買収したこともバレづらいのではと思っているようだ。


「という訳で、頼めるか?」


「分かりました。やりましょう。

 ただ、報酬は別で出していただきますよ。」


「貪欲だな。まあ証拠が手に入るなら仕方ない。

 しっかり頼むぞ。」


「はい。」



ーー夕方、エーザ公爵家領主執務室


騎士団長は無人の執務室に入った。


よし、回収に成功した。

そう思った時だった。


「どうした?」


主君であるエーザ公爵だ。


「・・・ 少し、領内の地図を見ようと思いまして。。。」


「ああ。そうか。確か、そこに置いてあるぞ。」


誤魔化せたー!

取り敢えず、地図をサッと見て帰ろう。長居しても時間の無駄だ。


「ありがとうございました。では、失礼します。」


「うむ。あっ。今度の戦は領内の守りを担当してくれ。私に万が一のことが

 あったら息子を頼む。」


「分かっています。」


「そういえばお前、刀なんていつのまに手に入れた?」


「ちょっとした知り合いの伝手ですよ。」


「そうか。」



ーーグレイング・オブ・ロアー王国


「サリサ共和国で明日にも戦が起きるそうですよ。」


「どういうことだ?」


「貴族が2つの派閥に分かれて争っているんですよ。

 密偵の報告があっていれば明日にも戦になります。」


「好都合じゃないか。仲の悪い国が勝手に仲間割れして争ってくれるのなら。」


「しかし、今回の件はガイウス大公国も関わっているようです。」


「はぁ!? それは話が違う!」


「どちらにつくのかまでは知りませんが、一応警戒しておきましょう。」


「勿論そのつもりだ。」



ーーガイウス大公国


「革新派の連中との話し合い、上手く行きましたぞ。」


「そうか。ご苦労であった。あいつらもまさか、一番兵数の多い

 ガイウス帝国軍が裏切るなど思ってもいないだろうな。」


「周辺諸国はどこも様子見を決め込んでいるようなので絶好のチャンスですぞ。」


「そうだな。さ、明日に備えて今夜はゆっくり休め。

 酒を飲みすぎて2日酔いになりました、じゃ話にならないからな。」


「「はっ」」


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取り敢えずカクヨムコンの期間は極力毎日更新できるように頑張りますが、

学校なども忙しいので毎日は少し難しいですがよろしくお願いします。

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