第55話 陰謀と謀反人(2)

ーー翌日、サリサ共和国


「やはり戦闘に参加しなくて良かったですね。」


「ああ。」


「ただ、向こうから詰問はされるでしょう。」


「無視すれば良い。うまいこと流してくれ。」


「分かりました。」



ーー翌日


家臣の予想通り、使いがやってきた。


「何故加勢されなかったのですか!」


「すまない。内輪揉めで時間がかかってしまった。

 それで帝都に着いたときにはあなた方は撤退の途中でしたから。」


「では何故撤退の支援をしてくれなかったのですか!」


対応する家臣は しまった という顔をした。


「そ、それは・・・」


「すまぬ。内輪揉めが起きたばかりで指揮系統の混乱があったからだ。」


「閣下!」


サリサ共和国のトップであるハムン・エーザ公爵が

ドアを開けて入ってきた。


「公爵殿!これからはこのようなことがないように

 十分気を付けてくださいよ。」


「ああ。じゃ、さよなら。」


「では失礼します。って、え?」


使者が振り向こうとした瞬間、エーザ公爵は使者の背中を斬った。

両断ではないが、かなり深い傷だ。

使者は一撃で死んだ。


「愚かな主君をあの世で恨むが良い。」


エーザ公爵はそう言って家臣に処理を任せて仕事に戻った。



ーー4日後


「まだ帰ってこぬか・・・」


「殺されたのでは?」


「縁起でもないことを言うな。」


「でも、可能性はあります。一応聞いてみましょう。」


「分かった。」



ーー翌日


「ふざけやがって!」


「兄上、落ち着いてください。」


「分かっておる。あのクズ共め・・・」


使者が殺されたことを知り、激怒していた。


「取り敢えず対策を考えましょう。」


「ああ・・・」



ーーブルーイン帝国では


「あの謀反人どもに懸賞金をかける!

 報酬金が欲しい者は奴らを討ち取れ!!」


「おー!」


ついに懸賞金がかけられ、腕に自信のある者達が準備を始める。

暗殺者や野盗、傭兵などが動き出す。



ーー2日後


「勝利だー!」


ブルーイン帝国南部の町を反乱軍が占拠した。

この町で3箇所目だ。


「手荒な事はするなよ!住民には優しくせよ!!」


「「「はっ」」」


「町長がお見えです。」


「そうか。通せ。」



「町長殿か。我が兵が乱暴を働いていたら遠慮なくすぐに伝えてくれ。

 我らのことは気にせずこれまで通りで大丈夫です。」


「はい。」


「何か言いたげだが如何なされた?」


「大変失礼ながら、我が町は戦地になることが多く食糧難が続いています。

 特に、周囲の村から出稼ぎに来ている者達は貧しい者が多くいます。

 彼らのために炊き出しをしていただければと思いまして・・・」


「そうですか。それは大変でしたな。分かりました。

 明日の朝に炊き出しを行いましょう。町の皆さんに伝えておいてください。」


「ありがとうございます。」


「では、我々は兵士達に伝えてきますので失礼します。」


「はい。よろしくお願いします。」



ーー翌日


「これから炊き出しを始める!一列に並べ!!」


「ありがたや、ありがたや。」


「美味い!」


炊き出しではパンとスープが配られた。

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