第52話 ありえない兵器(1)

ーーブルーイン帝国軍本陣


「何なのだ。あの武器は。」


「大きな破壊力のあるやつが『大砲』、小さめの速い弾を撃ち出すのが

 『鉄砲』というそうです。」


「『大砲』と『鉄砲』か。いつ開発されたのか・・・」


「エルヤ帝国は150年の間外部から遮断されていました。我々と違う技術を

 持っていても不思議ではありません。」


「ああ。しかし、何か対策を講じなければ・・・」


「はい。ただ突撃するだけだと大量の兵に撃たれます。」


「強行突破は流石に無理だ。どうする。」


「弓で妨害しつつ進みましょう。」


「そうだな、それが良い。」


「では、明日の早朝、朝露の乾かぬうちに出撃しましょう。」


「なぜそんな中途半端な時間なのだ。」


「部下の報告によると大砲や鉄砲は火を使って撃つそうです。

 湿気があれば火をつけるのが遅くなり、その間に攻撃することができます。」


「うむ。あとは火矢を用意しておけ。大砲を暴発させられる。」


「畏まりました。」



ーー翌日


「全軍前進!」


「おー!」



「来たか。迎え撃てー!」



「火矢を放てー!」



「まずい!火縄に火をつけるな!!」


しかし、一足遅かったようだ。


ドゴォォン ドゴォォン


大砲が爆発した。


「くそっ。撤退だ!」



「うまくいきましたな。」


「ああ。追えー!逃すな!!」


次々に矢が放たれる。



ーー30分後


「敵は城に逃げ込んだぞ!追えー!!」


エルヤ帝国軍の逃げ足は速く、てつはうを投げながら走っていく。

※てつはう・・・鎌倉時代にあった元寇でモンゴル帝国軍が使用した武器。

      鉄の破片と火薬が中に入っており、投げて着弾地点で爆発を起こす。


「何故だ!?我らの知らない武器が次々出てくる!!」


ブルーイン帝国軍は混乱している。


「街を焼き払えー!」


街が燃え始める。


「今だ。撤退だー!」



ーーエルヤ帝国王城


「やっと退いたか。」


「しかし、街が焼かれてしまいましたな。」


「ああ。消火活動を開始しろ!」


「はっ」


「さて、敵はどうするのか楽しみです。」


「異世界生まれのお主の知恵も頼りにしとるぞ。」


「はっ」


王と話していたのは、






日本人の青年だった。


もちろん、鉄砲も大砲も、てつはうもこの青年が案を出したのだった。

需要があまりなかった硝石を掘らせ、黒色火薬を造り実用化させたのだった。

彼が歴史好きだったのもあり、火縄銃などを取り入れていった。

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