第48話 サリサ共和国(1)

「どうするべきか・・・」


「取り敢えず同盟を結べないか掛け合ってみましょう。」


「そうだな。頼む。」


「はっ」


ーー3日後


「申し上げます。ゴンディー・オブ・パリサ帝国から同盟の誘いが

 きております。」


「断れ。奴らは信用できん。」


「畏まりました。」



ーー2日後


「断られたか・・・」


「まあ、予想通りです。」


「は?」


「陛下、あんたはもう用済みですよ。」


「何だと⁈」


一瞬で家臣は投げナイフを投げる。


「くそっ!」


ギリギリで避ける。


「安心するにはまだ早いですよ!」


続け様に2本の投げナイフを投げる。


「ぐっ」


片方のナイフが左腕に刺さる。


「やられてたまるか!」


右腕で太刀を抜く。グレイング・オブ・ロアー王国製の上物だ。


「噂に聞いていた通り美しいですな。刀身も、拵も。

 特にその刀身も龍の彫刻と刀身に浮かぶ模様。」


模様とは刃紋のことを言っているのだろう。


「敵に褒められても嬉しくねぇよ!!」


「そうですか。」


こちらも剣を抜く。

50cm程の少し短めの剣だ。室内での戦闘にも適した取り回しの良いものだ。


太刀と剣がぶつかり、火花がでる。


「そういえば、お前は何者だ。」


引き攣った顔で皇帝であるパリソウン1世が問いかける。


「サリサ共和国軍の暗部です。」


サリサ共和国の暗部は、サリサ王国の頃から存在しており

重要な指名手配犯、謀反人、敵将の暗殺や敵国への潜入などの任務を

担当する部署である。


「最悪だ!」


剣が少し短く、投げナイフを所持していたのも暗殺に相性がいいからだろう。


「そんなことを言われても困りますよ。」


右手のみで足を狙って剣を振る。


「隙あり!」


左手で腰に装備していた投げナイフを取り出し、そのままの動作で

投げつける。


「危なっ!」


「このナイフは特注でして。暗部に所属していて、投げナイフを

 使用する者にのみ支給される投げやすくて軽い特注品です。」


「知るか!!」


太刀を上段から振り下ろす。

勿論、簡単に避けられた。暗部の人間にとって避けるのは

楽勝だろう。


しかし、それを分かっていたのかパリソウン1世は

そのまま太刀の刃を上に向けて振り上げる。


「頭の回転だけは早いことで。」


「褒め言葉として受け取っておくか。」


左肩に深い傷を負いながらも皮肉を言う余裕があるのは

パリソウン1世にとっては意外だっただろう。


「一国の皇帝を舐めるなよ!」


「何!?」


一瞬で距離を詰めて太刀を振り抜く。


しかし、負けじと投げナイフを途轍もないスピードで投げる。


「遅い!」


なんと、ナイフを刀で捌いたり、避けたりしていた。


「化け物かよ!」


投げナイフが尽きたようだ。

剣を両腕で構え、床を蹴り、一瞬で距離を詰める。

常人ではないほどのスピードだ。


そして、パリソウン1世は突きの構えをとっていた。


死闘を制したのは・・・











「ゴフッ」


パリソウン1世だった。


剣を振るより先に太刀を刺し、すぐに屈んで攻撃を回避した。


「敵ながら天晴れだ。」


「ははっ・・・」



「陛下!」


「大丈夫だ。彼は治療できそうか?」


「無理です。既に死んでいます。」


「そうか。では火葬して国営墓地に葬ってやれ。」


「しかし、彼は敵です。」


「彼は尊敬に値する。急げ。」


「はっ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

近況ノートでもお知らせしましたが、2000PVを超えました!

これからも応援よろしくお願いします!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る