第41話 2つの同盟の駆け引き(7)

戦いが始まってから2時間が経った。


「ううむ・・・ 勝ってはいるが決定打に欠けるな・・・」


「確かに、防戦一方なので敵の数は削れても壊滅させるには

 程遠いですな。」


「どうにか敵を退ける方法はないのか。」


「一度、敵の陣を攻めてみますか?」


「そうだな。部隊の編成を頼んできてくれ。」


「はっ」



ーーその頃、オウニラ王国の陣では


「どうにかならんのか!!」


「はぁ・・・ そうは言っても敵は防戦一方でこちらも迂闊に

 手が出せません。」


「そんなこと言ったって何が変わるんだ!」


「しかし・・・」


「しかしも何もない!早くしろ!!」


陣幕を蹴りながら叫ぶ。


「兵士達の命をゴミのように捨てられるつもりですか⁉︎」


「あ? 奴隷兵に価値などない!」


「いい加減にしろ!

 人権だ、命だとうるさい!奴隷はゴミだ!使い捨ての便利道具なだけだ!

 お前の領地は俺が貸しているのに勝手に奴隷に人権など与えおって!

 奴隷にも劣悪な環境での強制労働などをさせてはいけないなど

 論外だ!」


「知るか!お前は馬鹿か!!」


「どの口が言ってんだ!」


上官は男爵家の当主であり、部下は男爵領の一部を代官として

治めている準男爵だった。

男爵は激昂し、ブーツで蹴飛ばす。


「くっ・・・ お前みたいな領主が領民の為になる訳ないだろう!出てけ!!」


「誰に口を言ってるかお前は分かっているのか⁉︎

 そもそも、兄上が引き取らなけりゃお前は野垂れ死んでいたんだぞ!

 それにあのとち狂った兄はもう死んだ!今は俺の善意で衣食住を

 保証してやっているんだぞ!もしも俺がお前を追放したらどうなる?

 そのまま死ぬぞ!嫌なら黙ってろ!!」


「いちいちうるさいな・・・ なら、どちらが領主に相応しいか成年済みの

 領民に投票で決めてもらおう!そうすれば決まるだろ!!

 それに、お前は領主の第2候補だった己の弟を殺した!

 3兄弟の中では一番 継承順位が低いくせに。その上 お前らは

 分家だろ?俺は本家の末裔だからな!」


「弟は事故死だと言っただろ!」


「無駄な嘘を吐くな!首の切断面が綺麗すぎるし、遺体も

 散らかっていなかったぞ!」


「くそ・・・ お前はここで死ね!」


剣を抜いて飛びかかる。


「遅いんだよ。確か3兄弟の中で統治力も無い、

 武術も下手くそだったよな⁈」


「うるさい!」


男爵は精一杯の力で斬りかかったが、あえなく躱された。


「遅いんだよ、雑魚。」


「へ?」


一瞬で間合いを詰め、剣は男爵の左腕を斬り落とした。


「ギャァァァ!」


「うるさいな。早く死んでくれよ。」


ビシュッ


「ギャァァァァァァァァァァーー!!!!!!!!!!」


最後の足掻きとばかりに剣を振り回す。


「黙れ。」


ドスッ


剣は男爵の心臓を貫いた。


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