第39話 2つの同盟の駆け引き(5)

ーー5日後


「「えいえい」」


「「「おー!」」」


「「えいえい」」


「「「おー!」」」




連合軍は遂にリービア公国に攻め込み、町を一つ占領した。


「この勢いで都も攻め落とすぞ!」


「「「おー!」」」


「もう夕方だ。今夜は体を休め、明日からの戦いに備えよ。」


「「「はっ」」」


「それでは一旦解散だ。ただし、部将はここに残ってくれ。」


「「解散!」」



その後、町を各隊ごとに分割し隊ごとに野宿となった。



ーー翌日、午前2時過ぎ


「ふう。体調管理も大事だな。しかし腹痛になるとは・・・

 とにかく明日も朝早いし早く寝よう。」


「体調管理は常にしておけよ。」


「体調は日常生活でも整えておかないとこうなるから気をつけないとな。」


「ああ。寝坊しないように早く戻ろう。」


「「「そうだな。」」」


夜道を4人の兵士が歩いていた。


彼らは同郷で仲が良かった。


その内の1人が腹痛になり、偶然起きていた3人がついでにトイレに行く帰りで

あった。


「何だ、あれ」


「「「⁇」」」


腹痛が治ったばかりの兵士が町の郊外を指差していった。

彼は視力がかなり良いようだ。


しかし、他の3人にはよく見えなかった。


「どこだ?」


「ほら、あの小山の上。

 篝火かがりびが見える。」


「確かに。少し赤く見える。」


「ほんとだ。山の中腹辺りが少し明るい。」


「あそこか。でも、あそこにはどこの隊もいないはずだぞ?」


「そういえばそうだな。じゃあ、あれは何だ・・・」


「・・・これは俺の予想だけど、敵かもしれない。」


「もう少し近づいてみるか?」


「丁度良い。昼に上官に借りた双眼鏡を持ってた。

 これを使って見てみるか。」


「いや、良いと思うけどそれ返さないといけない物じゃ・・・」


「本来なら寝る前に返す予定だったが・・・ 忘れてた。」


「「おい!」」


「取り敢えず双眼鏡で見てみよう。

 それで十分な情報を得られたら上官に報告。

 十分な情報を得られなければ近づこう。」


「「「分かった。」」」




「どうだ。何か見えたか。」


「兵士が動き回ってる。あそこに何か旗も見えるけど・・・

 俺 視力が悪いから見えない。」


「じゃあ俺が見る。」


「頼む。」


「どれどれ・・・

 やっぱり敵の旗だ。朝駆けをしてくるつもりか?」


「俺、上官に伝えてくる!」


「頼んだ!俺らはここで監視を続けるから連れて来てくれ‼︎」


「了解!じゃあ行ってくる‼︎」



ーー彼らの所属部隊が泊まっている場所


「上官!大変です‼︎」


「何だ。こんな深夜に起こして・・・」


「敵の軍勢が郊外に布陣しています!」


「何⁉︎それはお前1人で見つけたのか?」


「いえ。4人で見つけました。」


「じゃあそいつらのところに案内してくれ!」


「分かりました!」



ーー10分後


「連れてきたぞ!」


「「「ありがと!」」」


「それで、敵がいるってどういうことだ。」


「あそこの小山の中腹に敵が布陣しています。

 恐らく朝駆けでもやろうということではないかと。」


「敵だという証拠はあるのか。」


「この双眼鏡を使って確かめました。

 オウニラ王国の旗がありましたから確実に敵です。」


「その双眼鏡。俺が昼間に貸した奴じゃないか!」


「遅れてすいません。」


「次からは気を付けるように。」


「はい。」


「とにかく、すぐに陛下に伝えましょう。」


「うむ。陛下とゴンディー・オブ・パリサ帝国の皇帝陛下に

 お伝えせよ。」


「はっ」



ーー1時間後


「「これから緊急会議を始める。」」


本陣では主だった者が集められ、会議が開かれていた。


「まず、敵を見つけた兵士4名。前へ。」


4人が一番前に横隊で並ぶ。


「彼らは偶然とは言え敵を発見した。これを讃え、勲章を与える。」


集まっていた部将達が驚く。


「そして、何より彼らは勇敢に監視を続け、迅速な判断で

 我々に正確な情報を提供してくれた。

 この勇気と判断力を讃え、グレイング・オブ・ロアー王国の

 勲章である大星三等勲章おおぼしさんとうくんしょう(戦いにおいて優秀な働きをした者に与えられる。

 一等から四等まである。)と謝礼金として白金貨2枚ずつを贈呈する。」


「正式な受勲式は戦いが終わった後となるが、現時点から勲章が授与された

 後と同じ扱いとする。」


「それでは、受勲した彼らからコメントを貰おう。」


「「「「この度は偶然の事が元で勲章を頂くということになり、

    驚きました。そして、陛下をはじめとする方々、この身に誓って

    この御恩は忘れません!ありがとうございました‼︎」」」」


「うむ。それでは本題に移る。オウニラ王国も奴らをどう始末すべきか。

 諸将の意見を聞きたい。」


「はい。守りを堅めて敵を追い返しましょう。」


「付け足しですが、町を無防備に見せて伏兵を大量に忍ばせて

 敵の混乱を招けば良いかと思います。」


「名案だ。諸将は全部隊の全ての兵士を起こしてくれ。

 そしたら伏兵の配置を開始する。」


「「「はっ」」」


「各々方、頼みますぞ。」


「「「畏まりました!」」」



ーーその頃、オウニラ王国の陣


「順調か。」


「はい、部隊を4手に分け、正面、背後、左側、右側の4方向から同時に

 攻め込みます。そうすれば敵の退路は完全に封鎖できます。」


「ではあと2時間を切ったができそうか。」


「問題ありません。」


「頼んだぞ。」


「はっ」


此方では綿密な計画と準備が進んでいた。


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文字数見たらいつの間にか1話で2000文字超え!

ちなみに、このお話を書くのにかかった時間は大体1時間20分です。

2000文字って意外と疲れる(汗)

毎話2000文字とか3000文字弱とか書いてる人凄いと思います。

素直に尊敬します。

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