第37話 2つの同盟の駆け引き(3)

ーーオウニラ王国


「何故だ・・・」


同盟を結んだものの、リービア公国の周囲にある小国が

次々に滅ぼされ、同盟国はリービア公国を除いてあと3カ国。


「最初は6カ国だったのにもう半分だ・・・」


「とにかく、打開策を考えなければ我が国も滅ぼされてしまいますぞ。」


「分かっている。」


「例えば、敵を調略するなど方法はいくつもありますぞ!」


「一旦 一人にさせてくれ。」


「分かりました。」



ーーリービア公国


「敵の調略はできそうか?」


「実は、グレイング・オブ・ロアー王国で狼藉を働き、

 手配されていた傭兵団の頭領が傭兵達を率いて味方になるとの

 申し出が・・・」


「そうか。すぐに通せ!

 傭兵が信頼に値する人物か見極める。」


「はっ」



ーー10分後


「リルサ傭兵団頭領 イズーン・リルサ でございます。」


「我が国に味方してくれると聞いたが、本当か?」


「はい。ご存知の通り私たちはグレイング・オブ・ロアー王国に

 手配されている身です。」


「うむ。狼藉を働き、手配されたと聞いている。」


「とんでもない。狼藉というのはグレイング・オブ・ロアー王国が

 流した嘘でございます。」


「では、実際はどうだったのだ。」


「彼の国にとって我々が無用の代物になったからです。」


「なぜだ。」


「それは、元々我らはグレイング・オブ・ロアー王国の

 北部がまだ王国に編入される前は事実上は領主となっていました。

 編入される際、王国の軍の特殊部隊となりました。

 しかし、王国の発展に伴い我々傭兵は必要とされなくなりました。

 特に、我が傭兵団には多額のお金を払ってくれていたので

 解雇はすぐに決まりました。

 そして北に追いやられ、そこで1年程暮らしましたが戦地となり

 元々いた町に戻ったのですが、そこでは王国に土地を売ったと

 非難され放浪していたのです。」


「難儀だったな。それで、我が軍に加わってくれないか?」


「我々を使い捨てにしないということと、相応の報酬が貰えるのであれば。」


「分かった。約束しよう。」


「閣下、傭兵は口約束はあまり信用しませんが書類上での契約は

 相手が裏切らない限り必ず守るそうです。」


中年の家臣がイズーンに聞こえないように耳打ちする。


「書類を持ってこい。」


「はっ」


「どうされたのですか?」


「ちょっと必要な物を取りに行かせただけです。

 我が国自慢の茶葉を使った紅茶とクッキーでもいかがですか。」


「ありがたい。最近、紅茶を飲めることが少なかったので是非。」


「紅茶とクッキーを2セット頼む。」


「畏まりました。」


侍女が紅茶を取りに行った。


ーー2分後


「お持ちしました。」


「うむ。ご苦労であった。

 ではイズーン殿、どうぞ。」


イズーンとシュリン公が紅茶を飲む。


「どうでしょう。うちの紅茶は。」


「甘すぎず、苦すぎない深い味わいですな。香りも良い。」


「光栄です。」



「書類をお持ちしました。」


「ご苦労。」


「それは?」


「一応、書類契約もしておこうと思いまして。

 その方が其方も安心でしょう。」


「そうですな。では私から。」


最初にイズーンがサインし、次にシュリン公がサインする。


「これで契約は成立しました。末長くよろしくお願いします。」


「こちらこそお引き立ての程、よろしくお願いします。」



こうしてリービア公国の兵力が更に上がった。


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