第36話 2つの同盟の駆け引き(2)

王が亡命したことにより、国内はパニックになっていた。


「他国へ逃げるぞ!」


「陛下の阿呆ー!」


国内は庶民も貴族も兵士も大騒ぎの状態で、逃げる者や王城に略奪しに

行こうとする者などがおり、政治が云々、同盟が云々の状態ではなかった。


また、治安が悪くなった為、白昼堂々盗賊が出るようになった。


「オラオラ、邪魔だぞ!」


「王様だぁ?貴族だぁ?

 そんなの関係ねぇんだよ!」


「きゃぁぁぁぁ!」


「逃げろー‼︎」


「うるせぇな・・・騒ぐとこの破壊剣バスターソードでお陀仏だ‼︎」


誘拐や略奪、さらには放火まであった。


「嫌だ、嫌だー!ママー!パパー!」


「黙れていってるだろうが!」


人攫いが泣き喚く子供喋る売り物を殴る。



毎日この様な有様であった。



ーーゴンディー・オブ・パリサ帝国の陣


「後は高みの見物か。」


「ですが、国内は王の亡命により混乱が続いている状況です。

 治安も悪化しており、攻め入るのは今が良いかと。」


「分かった。全軍に伝えよ!明日、突撃し旧王都を占領する。

 出陣の支度をせよ‼︎」


「「はっ」」



ーー翌日


「突撃ー!」


「「「おー!」」」



「お待ちください!」


「何だ。」


「我ら住民はあなた方を歓迎し、降伏します!」


「そうか。

 だがとにかく兵は万が一に備え、駐屯させる。問題ないな。」


「問題ありません。既に受け入れの準備を始めています。」


「できるだけ早くせよ。」


「畏まりました。」



ーーその夜


「久しぶりに飲む酒は格別だったなー!」


「その通りだ。降伏してくれたおかげで手間が減った。」


「駐屯地に戻ったらもう一度祝杯とするか!」


「そうだな。今夜の宴会に参加できなかった兵士達とも

 酒を飲んで今夜は少し夜更かしといくか!」


「だな!・・・ゴフッ」


「どうした⁉︎」


「死ね!」


祝いの宴会から駐屯地へ戻ろうとした騎兵が倒れた。

そして後ろからは黒ずくめの男がもう一人の騎兵にも襲いかかっていた。


「くっ!」


幸い、腰に儀礼用のサーベルを佩いていた為それで切りつけたが

別の男3人が襲いかかってきた。


「無礼者が!」


更に1人切った。

残り2人。


軽騎兵だからこその立ち回りで戦うが、


「ぐはっ!」


更に1人の暗殺者アサシンを斬ったのと同時に

後ろからもう1人に左肩を貫かれる。


「まだまだぁ!」


だが近くの屋根からグループのボスらしき人物が飛び降りてきた。


さすがに傷を負った騎兵と暗殺者アサシン2人では

どちらが優勢かは目に見えている。


「手間かけさせやがって・・・

 まあどのみち死ぬのだから関係ないか。」


しかし


「このまま死んでたまるかぁぁ!」


絶叫し、兵士とは思えないような動作で暗殺者アサシン

滅茶苦茶に斬り裂く。


ーーそして


死闘の末、生き残ったのは騎兵と暗殺者アサシン達のボスの二人だった。


そして、この二人の一騎討ちの勝敗は一瞬で決まった。






騎兵の頭には短剣ダガーが突き刺さり、

暗殺者アサシン達のボスの胸には折れたサーベルの刀身が刺さり、

柄と残った刀身は右足に食い込んでいた。






つまり、相討ちとなったのだった。



そして、翌朝。


現地住民がそれを発見し、兵士達による盛大な葬儀が行われた。


また、その日から町で残党狩りが実施され、この暗殺者アサシン

グループの生き残りや関係ない別の盗賊のグループも逮捕された。

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