第25話 港町での共闘(3)

サリサ王国の港町では一進一退の攻防が続いていた。


「もう夕方だ!そろそろ決着をつけないと・・・」


市街地の上を矢が飛び交う。


「街の外まで退け!」


「敵が退いていくぞ!今だ!突っ込め‼︎」


しかし、この撤退は罠であった。


市街地での戦いは困難と感じた為、一旦街の外に出て、

そこで袋叩きにするという作戦だった


「まだだ!まだおびき寄せろ!

 ・・・今だ!放てー‼︎」


一気に矢が放たれ、兵士に突き刺さる。


「くそっ!退けー‼︎」


グレイング・オブ・ロアー王国軍は状況不利として撤退した。

こうして港町は守られたのであった。



ーー3日後、グレイング・オブ・ロアー王国にて


「最近は我が国もゴンディー・オブ・パリサ帝国も負け続けですな。」


「ああ。東側は同盟を結んだオウニラ王国がいる。西側にはブルーイン帝国の

 領土もある。となると北側か・・・」


「ブルーイン帝国は中立国です。現在は不可侵条約を結んでいますし。

 攻め込むわけにはいきません。それに森もある為、伏兵がいる可能性も

 高いです。」


「内政の充実を優先させるか・・・」


「いえ、それも重要ですが今のところ問題ありません。インフラの整備も

 順調です。」


「そうか。では北側から攻め込むか・・・」


「それがよろしいかと。確かあの辺りには街道がありましたな。」


「なら、その街道を正面から突っ切ろう。」


「「「はぁ⁈」」」


「流石に危なすぎます!」


「問題ない。我が国とゴンディー・オブ・パリサ帝国の連合軍をつくる。

 理想としては我が軍を基本戦力とし、ゴンディー・オブ・パリサ帝国の

 『神龍隊』と『近衛長隊』、ゴンディー・オブ・パリサ帝国の

 頭脳に優れた『文長隊』と『宦長隊』のうち『文長隊』を

 追加戦力とし、兵の数でも頭脳でも武力でも上回れる。

 そうすれば問題ないと思う。」


「では、ゴンディー・オブパリサ帝国に伺いをたててみます。」


「頼んだ。」



ーー翌日


「向こうの許可をもらえました!すでにここに到着しています‼︎」


「早いな。ご苦労であった。すぐに通せ。」


「はっ」



ーー5分後


「ゴンディー・オブ・パリサ帝国軍神龍隊、近衛長隊、文長隊 全員

 揃いました!」


「道中、ご苦労であった。伝えた通り、明日 サリサ王国北部の

 街道経由で攻め込むこととなっている。

 今日はゆっくり休まれるように。」


「はっ」


「後でそちらの宿舎にいつも派遣騎士団に渡している龍の彫刻入りの太刀を

 一人一振り届ける。」


「ありがとうございます!」


「うむ。下がって良いぞ。」


「では、失礼致します。」


ゴンディー・オブ・パリサ帝国では龍が敬われており、

グレイング・オブ・ロアー王国では毎年交代で来る派遣騎士団に

龍の彫刻が刻まれた太刀(日本刀)を全員に一振りづつ贈っている。

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