第20話 迎撃用国境第2要塞の戦い(4)

ーー翌日午前2:00(夜明け前)


「皆を集めろ。」


「はぁ?」


夜明け前に司令官に呼び出された『神龍隊』の兵士は指示された内容が

一瞬理解できなかった。


「だから、皆を起こしてここに集めろと言っているんだ。」


「分かりました・・・」



ーー5分後


「全員、集まりました。」


まだ空は暗く、時々少し寒いとも思える風が吹いてくる。

欠伸をしている兵もいた。


「これから夜襲をかけようと思う。」


「「「えっ」」」


「つまり、今から敵の陣に夜討ちをするのだ。」


「今から奇襲をかけるということですか?」


「そうだ。何回言わせるんだ。

 だから準備をしてくれ。くれぐれも大きな音は出すなよ。」


「「「はっ」」」



ーー20分後


「全員の準備が整いました。」


「よし。逃げられないように全体を包囲し、こちらの合図で一気に

 攻めかかる。基本全員殺す。兵達に伝えてくれ。」


これまで夜討ちは記録にあまり残っていない。

何故なら夜討ちは卑怯であり、タブーとされてきたからである。

特に、その国で一番強い隊がそのようなことをするのは

不名誉極まりないことである。場合によっては他に者に後ろ指をさされても

おかしくないのだ。


「狼煙を上げたら合図だ。分かったな。」


「はっ」



ーー5分後


ついに狼煙が上がった。


「かかれー‼︎」


「「「おー‼︎」」」



「何事だ⁉︎」


「申し上げます‼︎ 敵が夜討ちをかけてきました‼︎」


「おのれー‼︎

 退け!撤退だ‼︎」


「そうはさせるか‼︎」


総大将自ら突っ込んできたか。

だが、敵が誰であろうと戦うまで。


総大将同士の剣がぶつかり合う。


「うぉぉぉ!」


「何だ⁉︎」


サリサ王国の兵が槍を『神龍隊』の総大将の脇に突き刺した。


「くそっ!」


剣で薙ぎ払うとあっさりその兵は倒れた。


「今だ‼︎」


その隙に振るった剣は首を狙ったが避けられ、右腕と頬に傷をつけた。


「痛っ!」


「今だ!総員撤退‼︎」


隙を見て彼も逃げきった。

後ろの方にいた兵士が要塞に火をつけてから逃げてきたようで

敵は追撃を途中で諦めた。


この戦いではサリサ王国方の死者は少なく、要塞からの脱出に

成功した者で追撃によって死亡した者はいなかったという。


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星が30を超えました‼︎ ありがとうございます!&2万文字超えました!

<追記>第17話、第18話、第19話のタイトルを変更しました。

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