第18話 迎撃用国境第2要塞の戦い(2)

翌朝6:30

「おい、起きろ!」


「何だよ、朝から・・・ はぁ!?」


迎撃用国境第2要塞(仮称)の中、兵士達が寝泊まりして

いる仮設の長屋に大声が響いた。


「何で敵に包囲されているんだ・・・」


「多分、夜の間に囲まれていたんだろう。」


「これじゃあ何もできないじゃないか‼︎」


兵士の一人が怒りに任せて机を殴る。


「まったく上層部は何をしているんだ」


「そうだ。司令官はあんなことを言っていたが

 そうそう上手くいくもんか。」


「んなこと言ってどうなるって言うんだよ」


「「「えっ?」」」


噂をすれば長屋の入り口の戸に総司令官がいるではないか。


「「ひぇっ‼︎」」


「こっちだって上の命令で仕方なく戦っているようなもんだ。

 だからな、愚痴ったって何も変わらない。戦って勝つしかないんだよ。」


「「「分かりました・・・」」」


「起きたなら支度をして出てこい。少しは体を動かせ。」


「「「はっ」」」



ーーその頃、要塞を包囲するゴンディー・オブ・パリサ帝国の陣にて


「我らが敵を包囲していることを悟られたようです。」


「問題ない。これまでに我ら『神龍隊』に勝てた軍はいない。」


神龍隊とはゴンディー・オブ・パリサ帝国の皇帝直属の軍のうち

一番強い軍である。

ゴンディー・オブ・パリサ帝国の皇帝直属の軍は強さ別に

3段階(神龍しんりゅう隊・王騎おうき隊・近衛長このえちょう隊)に分けられており、

最下層の『近衛長隊』でもかなりの実力を持っている。


それに対してサリサ帝国が要塞の防衛に出陣させた軍は至って普通の実力だ。


つまり、勝つのは困難を極める。


「明日には総攻撃だ‼︎」


「「「はっ‼︎」」」


神龍隊の司令官は余裕の表情で部下に指示を出す。



ーーサリサ王国方、迎撃用国境第2要塞(仮称)


「敵は皇帝直属の最強を誇る軍だとか・・・」


「だとしたら全滅は時間の問題だな・・・」


「司令官、如何なされますか。」


「南側から突破を試みる。

 包囲をしている敵に正面から攻め入る。

 そして途中に伏兵を忍ばせて奇襲をかけてすぐ逃げる。

 これを繰り返す。

 ただし、向こうも総攻撃をかけてくるだろう。

 敵が一回目の総攻撃をかけてきたらその日の夜に突破を試みる。」


「「「はっ」」」


「だから今日はしっかり体を休めろ。よいな。」


「「「はっ‼︎」」」



ーー翌日、昼 ゴンディー・オブ・パリサ帝国の陣


「これより総攻撃をかける!

 戦力は南側に集中させ北側の戦力は少なくする。

 西側、東側は通常通りにせよ。」


「「「はっ‼︎」」」



サリサ王国の命運がかかった戦いが始まった。

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