第17話 迎撃用国境第2要塞の戦い(1)

判断を間違えた。しかしもう遅い。

圧倒的な軍事力を保有するゴンディー・オブ・パリサ帝国を

怒らせたら恐らく滅ぼされる。

勝つ方法。それは地の利を活かして時間を稼ぎ、こちらが有利になったときに

和睦する。ただこれは当然のことであり向こうも対策をしてくるだろう。

なら敵に悟られずにこちらにおびき寄せる必要がある。


「国境付近の数箇所に要塞を作れ‼︎」


「はっ‼︎」



ーー2日後


サリサ王国の軍は素早く要塞を国境周辺と要衝に合計で12の

要塞が次々に完成していった。


ただ、即席で作ったため、大層な石造りの塔など作れるわけがない。


そこで、木で作った櫓を建て、土嚢を使って敵が突っ込んできた

ところを槍や弓で迎撃できるようにしている。



ーーその日の夜、迎撃用国境第2要塞(仮称)にて


「これから今回の作戦の内容を伝える。

 聞き漏らしのないように。」


指揮官らしき人物が兵士達に話し始める。


「今回の戦いでは我らはここから約750m程離れたところにある

 国境から攻め入ってくるゴンディー・オブ・パリサ帝国の

 軍を足止めし、場合によってはこの要塞を棄てる。

 つまりは敵の足止め、場合によっては敵を誘き寄せる役目である。」


「以上で説明を終わります。何か質問がある方は後でこちらに

 来てください。

 それでは、解散。」


その後、数人の兵士が指揮官に質問していたが答えてもらった後、

納得した顔で陣に戻っていった。



「面倒な役を任されたものだな。」

先程司会をしていた副司令官が話しかける。


「ああ・・・この要塞での総司令官としての責任は大きい。

 だが、お前の副司令官の責任や職務も重いぞ。」


「まあな・・・とにかく、今回も2人揃って帰還したいな。」


この2人は幼馴染らしく、総司令官と副司令官の立場ではなく、

友人として話している。


近くにある焚き火で少し暖かく、冬の寒さが残る3月でも

快適だ。


少し奥で兵士達の盛り上がっている声が聞こえる。

おそらく酒宴をしているのだろう。


「そろそろ俺らも彼らの中に混ざらせてもらうか。」


「そうだな。」


夜の風が涼しくも暖かくも感じられる。


戦いの前のうるさくもあり落ち着く。

そんな夜が続くのだった。

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