第10話『ザシス派』の逆襲と大東ブルーイン帝国の破滅(3)

兵は減り、士気は下がり、戦いに負ける。

『大東ブルーイン帝国』の軍はその繰り返しであった。


既に兵の数は最初の半分になっている。


「我らだけでも降伏しましょう。」


「いや、公爵様の指示を仰ぐべきだ。」


「しかし、このままでは・・・」


「誰のおかげで俺達は出世できたと思ってんだ‼︎

 下級役人のせがれだった俺達は公爵様のおかげで出世できたんだぞ!」


毎日この様なやり取りの繰り返しである。



ーー1週間後


「各方面の司令官から降伏を勧める声があがっています。」


「やはり降伏すべきかと・・・」


「または亡命という手段もありますが。」


「善は急げと言いますし、早めにされた方が良いかと。」


「ううむ・・・

 しかし、そうすると私の首が飛ぶだろ。」


反乱を起こした奴が今更何を言っているんだ。

そう思いながら部下は言う。


「それに関しては我々の連名で助命嘆願を出しておきます。」


「分かった。帝国に書を送ろう。降伏の意を伝える。」


「はっ」



ーー4時間後、帝都にて


「降伏するだと!?」


「はい。反乱軍の兵が先程、ローチラン公からの書を持ってまいりました。」


「それで、条件は?」


「それが・・・反乱軍が奪った土地の返還、反乱軍によって損害を受けた

 貴族への賠償金、我が国への賠償金、のみです。」


「ふざけおって‼︎そんなもので誰が納得するか!せめて首謀者の首を差し出せ‼︎」


「では、反乱軍にそう伝えます。」



ーー翌日


「やっと返事が来おった・・・

 ふむ、首謀者はこちらに引き渡すとなっておるが・・・

 ローチランのサインが無いがどうしたものか・・・

 まあよい。反乱軍はすぐに兵を退くように命じよ‼︎」


「はっ。」


ーーその翌日


「何故だ‼︎何故私が向こうに引き渡されることになっているのだ!」


「そうは申しましても、降伏の条件の一つとなっているので

 ご了承下さい。公爵様。」


「くそっ。図られたか・・・」


ローチラン公は力無く倒れた。



ーー1週間後


「・・・よって、第3騎士団団長、ナマソ・ローチラン公爵。

 帝国への反乱を主導した罪により、死刑とします。」


裁判により、彼の死刑が決まった。



ーー3日後、帝都拘置所にて


「「「殺せ!殺せ!」」」


死刑場は広場のようになっていて、許可を貰えれば見物人も

中に入れるようになっていた。勿論、見せしめの為でもある。


そこでは今回の反乱によって損害を受けた庶民や貴族、元兵士達が

集まっていた。


「これより、ナマソ・ローチランを死刑に処す。」


数秒後、ナマソ・ローチランの首が落ちた。



また、翌日には反乱に関わったとして

・イヴァイ・ブルーイン第2王子

・クヘン・リーランド侯爵

            の二人が死刑となった。


そして、

・リージア辺境伯家

・グロッセ子爵家

        は領地削減となった。


これにより、『大東ブルーイン帝国』は滅亡し、『ローチラン派』に

よる反乱は終わった。

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