第9話『ザシス派』の逆襲と大東ブルーイン帝国の破滅(2)

「くそっ 退けー!」


「「「勝ったぞー‼︎」」」





『ザシス派』の兵士達と『大東ブルーイン帝国』に領地を奪われた貴族達の

軍はすでに奪われた領地の3分の1を取り戻していた。


「まさに連戦連勝だな。」


「ああ。領土奪還の日も近いな。」


「これからも頑張るぞ!」


「「「おー!」」」


彼らの士気は異様に高くほとんどの戦いで勝利を収めてきた。



それに対して『大東ブルーイン帝国』の兵士達の

状態は酷いものであった。


「いっその事逃げ出してしまおう。」


「ああ。いつ敵に殺されるか分からない。」


「勝つ見込みもなく、士気も下がっている。

 我らだけでも降伏しなければ。」


「そうだ。黙って死を待つくらいなら逃げ出して俺達だけでも降伏しよう。」


「よし。今が夕方の6時だから深夜1時にみんなで逃げよう。」


「当てはあるのか?」


「ああ。無防備な北側から回り込んで俺達の故郷であるスタン侯爵家の村へ

 直接帰ろう。」


「しかし親父達が急すぎて驚くのではないか?

 だからといって手紙を出したら上官にバレてしまう。」


「仕方ないだろ。事情は村に帰ってから話せばいい。」


「そうだな。絶対に成功させるぞ」


どうやら彼らは同じ村の出身らしい。彼らは頷きそれぞれの部屋へ

戻っていった。




ーーその頃 大東ブルーイン帝国軍の本陣では


「最近、脱走する兵士が増えています。」


「はい。それに士気もかなり落ちています。」


「うるさい‼︎ お前らでどうにかしろ‼︎」



『これだから戦漬けの武官は・・・』


『アンタが一番の原因だろ・・・』


彼らは心の中でそう思った。



「で、士気が上がる方法は何かないのか。」


少し怒り気味で武官が部下にきく。


「はあ・・・

 ここは一旦退いて態勢を立て直すのがよいかと思います。」


「私もそう思います。」


「・・・分かった。ローチラン公爵様に伺ってみよう。

 それにより指示を変えるかもしれん。

 すぐに動けるようにせよ。」


「「はっ」」



「さて、憂鬱な一日がまた終わろうとしている・・・

 いつまで続くのか・・・」


部下の一人はそう呟いたが、それを聞いた者はいなかった。

彼の持つ懐中時計は夜の7時を指していた。



6時間後、兵舎の一室にて


「全員揃ったな。では始めるぞ。」


その場に居た彼を含む8人は頷いた。


「足音を立てるな。

 馬屋に行って馬に乗って行くぞ。

 馬術は大丈夫だな。」


皆が頷いた。



ーー5分後


「北側の裏門が手薄だ。

 くれぐれも音を立てるなよ。」



「よし‼︎バレる前に逃げ切るぞ。全速力だ‼︎」




翌日、彼らは途中休憩を挟みつつ、故郷の村にたどり着き

家族との再会を果たしたのだった。

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