第11話 告白
あ〜、沙川の莫迦。あいついい奴なのに口軽いのが難点だな。ほらぁ、香川が不思議そうな顔でこっち見てるじゃねぇか。
「なんか……二人の会話についていけなかったんだけど……」
ピュアすぎる。
「それでいいんだよ」
口を尖らせる香川。可愛い。どうしよう。言ってしまおうか。
「俺……香川のことが好きなんだよね」
あくまでさりげなさを装う。
「へ? は、あ、ありがとう。それって、友情的な意味だよね」
無垢な瞳が可愛い。
「いや、恋愛的な意味」
香川の目が点になった。
「え」
「いうタイミングがなかったら言わないつもりだったんだけどね。この際だから」
「な……え……僕を? ほんとに?」
「ほんと」
固まってしまっている。つんとつついたらそのまま後ろに倒れてしまいそうだ。
「でも、香川に何も求めないから。俺の気持ちはそうってだけ」
耳まで赤くなっている。なんかごめん。
「ぼぼ、僕は……東雲のこと尊敬してるっから……その、恋愛とかはあんまり考えたことないんだけど、すごく、あの、嬉しい、言ってくれて」
「ほんと? ごめんな、なんかこんなこと言って」
「ほんとだよ……勇気出して言ってくれてありがとう」
香川はそう言って俺の手を取った。
「だからごめんとか言わないで。ほんとに嬉しかったから」
香川の眼は優しかった。俺は内心の動悸を悟られていたのだと、やっと気づいた。俺でさえ今、心臓がこんなに早鐘を打ってるのに気づいたのに。……こういう香川だから好きになったんだよな。優しくて、真面目で可愛い、俺の片思い相手。
ことん、と後ろで音がした。振り向くと、飯田がいた。あ、と思った。そういえば、飯田……。
「ごめん、邪魔しちゃったね」
そう言って踵を返し、早足で去っていった。……どこまで聞かれてたんだろう。
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