しげるキック

「悪の霊障、神に仇なすものとして廃滅されてしまいます!」


「え?エロ拷問とかないの?」


「それは助祭たちの遊び・・・ゴフッ、邪や悪の芽を摘むという聖業です」


「あー・・・目を摘まむかwwwジュエリーなんかでよくモチられてんしなw邪眼とかつってwwwww」


思わずウヒヒと笑う。

ワシも革とシルバーで意匠されたバックルのベルト持ってたわww


「敬虔を装いつつもなんだこの邪悪の印は!イビルア~イwwwなんつってなwwwwww」


ビコーン!神聖耐敵受防魔能アンチイビルエアリーを獲得しました。



まーた覚えても意味わからん英語か。

アンチ、てなんだっけ・・・嫌いとか?クリトリス嫌い??てなんだ一体・・・

あとエアリーて形容動詞じゃないの?


「そいやイビルてフランス語?デビルと関係あんの?」


「邪を喋る槍と悪魔ですか・・・畏れながら皆目」


う~んことばがビミョーに通じない。


「じゃあとりあえず生乾きのしょんべんがめたくそ臭ってきたからシィドゥ・・・水使えるとこ案内してくれ」


若者らは互いに目くばせしたり頭振ったりしている。


「川は遠く、池などはありません。御身を清められるならこれをお使いください」


液体が入ってるらしき小汚い革袋がどぷんっ、と差し出される。


めっさ重そう。10キロの米袋に感じる感じるが、この餓鬼のカラダから見てだし4,5キロてとこか?


受け取った瞬間、あまりの軽さにスカッ!と真上に放り投げてしまう。


「うひょっ!」


慌て掴もうと、宙を舞う革袋に手を伸ばすとぬめっ、という風呂の中で手を動かしたような抵抗があり、それがスポン!と抜けると爆竹のような破裂音と共に革袋が爆散していた。


「・・・びっくり袋か?さっきのおもちゃの剣といい、ひょっとしておまえら遊んでんの?」


なんか臭い水を頭からかぶったっつーのに、首から肩にかけてほんわかと温かくなってくる。

あ~ほんとに若返ってんだなぁ・・・いいわほんと。


「そんな・・・抜き手の、あんな短い軌道で空を・・・」


くだらんアオリを続ける男に軽く踏み込み、緩く中段・・・大腿に向け脚を伸ばす。

カットのつもりか掴もうとしてんのか、素人臭い動きでワシの蹴り脚に体が向いたところで、足を戻し、下がった男の顔に打ち上げる。


女のカラダだしな・・・まともに蹴ったり、それどころか受けられたりしただけでも骨が砕けかねんもん。カオをビタンビタン叩いてあとは石投げながら逃げるかw


弱い、てのもけっこうおもしろいもんじゃと思いかけたあたりで、とくに足に打撃の感触も無く男の頭が爆散していた。


悪戯の手の込みように辟易としながらもロケーションを確認しながら退がる。


「オーギュスト様!」


倒れた男に縋りつく二人の女と、むせる鉄臭さ。

地に落ち、やる気なく泡立つ鮮血。

黄色っぽい脳の破片が、血を吸い若草のような色へ変じてゆくのを見ながら毎度のごとく思う。


「脳てなんで緑色になんのかの~・・・ハッ?!」




・・・え?モノホン肉体なの??風船じゃなくて?????

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