第8+1話 お姉さんと水遊び

 

 //SE ニホンミツバチの羽音



 「よしっ、こんなところかな? 今日もお疲れ様♪ じゃ、暑いしお家の中で涼んでて! あたしは花に水あげてから入るから」



 //SE 防護服を脱ぐ音

 //SE 草を踏み歩く音



 「え、何? ……夏祭りに行こうって? ああ。そう言えば今日だっけお祭り」



 「………………」 /視線を少し下に向ける



 //SE 蛇口をひねってホースから水を出す音



 「う~~ん。あたしはいいや……」



 「え? この前の海を断られたって? し、仕方ないだろ!? お姉さんは忙しいのよ。キミに構ってばかりはいられないの!! そ、そんなに行きたかったら彼女とでも行きなさい?」



 「え? いないって? そ、そうなんだ……。ふ、ふ~~ん。………………ふふっ♪」



 「い、いや!! な、何でもない。……わ、笑ってないって!! あっ、ちょっと!!」



 //SE ホースから勢いよく水を出し服にかける音



 「う、うわぁ!! ちょ、ちょっと!! 何すんの。や、やめなさい!! お姉さん怒るよ!?」



 //SE ホースからさらに勢いよく水を出し服にかける音



 「もうっ!! こらっ!! 返しなさい!! ……お返しだぁ!!」



 //SE 蛇口をさらにひねってホースからさらに勢いよく水を出し服にかける音



 「あっ!! ちょ、ちょっと!! ダメっ……服がびしょびしょになる……っうひゃあ!!」



 //SE ホースの水が顔にかかる音



 「あっ、あははは!! もう~~やったなぁ!! そりゃ!!」



 //SE ホースの水を勢いよく顔にかける音



 「あははっ。あはははっ!! もう~~、冷たいぞぉ♪ ふ、ふふっ♪」






 ♦ ♦ ♦






 //SE 服を絞って乾かす音



 「うわぁ。もう、キミのせいであたし全身びしゃびしゃなんだけど。……もう、うわっ、冷た!! 早く着替えなくっちゃね」



 //SE 引き戸式の玄関を開ける音



 「……ほらっ、いつまでもそんなびしゃびしゃな格好だと風邪引くぞ。夏風邪はこじらせると長引くからな。あたしの服をまた貸してあげるから。下は……ミリタリーパンツがあったな。それを貸してあげる。その間に服は洗濯しておくから」



 「今から洗濯すれば夕方ごろには乾くでしょ。ほ~~らっ、早く家で着替えるよ」



 「ん? どうした? 透けてるって、何が?」 /不思議そうに首をかしげる



 「ああ。別にいいじゃあないか。今日はちゃんとブラしてるし、この前みたいに大事な部分は見えてないっしょ? いいからほらっ、早く脱がないと風邪ひくよ!!」



 //SE 上着を脱がせる音






 ♦ ♦ ♦






 //SE テーブルにグラスを置く音



 「ほらっ、これ飲みな? あったまるから」



 //SE 飲み物を飲む音



 「………………」 /気まずそうにちらっと視線を向ける



 「もう~~、どうしちゃったの? 何で急に水なんてかけたのよ?」



 「え? 海も行ってないし、花火もお祭りも行ってないまま夏が終わるって? このままだと夏らしいことが出来ないまま終わるって? ん、う~~ん。なら今日のお祭りに行けばいいじゃないか……それに怪談大会もやったじゃないか。あれだって十分夏らしいイベントだぞ?」



 「えっ! あ、あたしと行きたかったって!? 転勤してきたばっかりで一緒に行ってくれる人もいないからって?」



 「そ、そっか……」



 「………………」 /何かを考えながら頷く



 //SE 立ち上がる音



 「よし、じゃあしよっか。夏っぽいこと!!」



 「え? じゃないよ。さっ、行くよ!!」






 ♦ ♦ ♦






 //SE 軽トラを出発させる音



 軽トラの車内

 


 「ん? どこに行くのかって? ふふっ、浴衣を借りに行こ♪ あたし浴衣持ってないから。キミも持ってないっしょ? 夏と言えば浴衣でしょ? だから街で借りてこようね♪」



 



 ♦ ♦ ♦






 「うん。これでいっかな」



 //SE 試着室のカーテンが開く音

 //SE 下駄の音



 「お~~い、決まった?」



 //SE 試着室のカーテンを開ける音



 「おお!! いいじゃん、いいじゃん♪ 似合ってるぞ♪」



 「え? あ、ありがとう……へへっ。あんましこういう格好しないから照れるな。さっ、じゃあ浴衣も着たし行こっか?」



 「ん? 違う違う。街のお祭りじゃないって」



 「い、いや。そんなにがっかりしないでよ!! お姉さんがもっといいとこ連れてったげるから♪」



 「そうそう。ほらっ、じゃあ行くよ!!」



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