第8話 お姉さんとオオスズメバチ


 //SE 目覚まし時計の音



 //SE 布団をめくる音



 「こ~~らっ、いつまで寝てるんだ?」



 //SE ゆっくりと布団から出る音



 「もうっ、ダメだぞ? 昨日あたしが一生懸命にマッサージしてあげたでしょ? だから今日も頑張るよ! ほらっ、ご飯できてるからこっちにおいで」






 ♦ ♦ ♦






 「ふぅ、ごちそうさまでしたぁ! ……よしっ、それじゃあ準備して今日もニホンミツバチさんのお世話頑張ろうねっ♪」



 //BGM セミの鳴き声

 //SE 引き戸式の玄関を開ける音

 //SE 防護服を着る音



 //SE 草を踏み歩く音



 「ん? あれは……」



 //SE 不気味な羽音



 「う、うわぁ!!」



 「た、大変!! お、オオスズメバチだよ!!」



 「ちょ!! 前に説明したでしょ!? オオスズメバチっていうのはニホンミツバチさん達の天敵だって」



 「こ、この!!」



 //SE 手で空を切る音

 //SE オオスズメバチの大きな羽音



 「きゃああ!!」



 「だ、ダメだ……ちょっと付いてきて!! あっ、ゆっくり……ゆっくりだよ?」



 //SE 静かに草を踏み歩く音



 「よし、これで……そりゃ!!」



 //SE 風をきる音



 //SE オオスズメバチの大きな羽音



 「よしっ、捕まえた」



 「え? これは何かって? これは捕獲用の罠だよ。オオスズメバチは攻撃性が強いからな。その習性を利用したオオスズメバチの駆除方法だよ。こうやって黒い粘着物を動かすと敵だと思って向かってくるんだ」



 「よし、駆除完了!! さっ、あとはオオスズメバチ来た痕跡を消して……」



 //SE うちわで仰ぐ音






 ♦ ♦ ♦






 「ふぅ。今日の作業はこれくらいにしようか? あっ、そうだ。昨日じいちゃんからもらった桃が冷蔵庫に冷えてるから食べよっか?」



 「うんうん。やっぱり夏は桃がおいしいよな。じいちゃんの育ててる桃はすっごく甘いんだから」






 ♦ ♦ ♦






「ふぅ~~、さてっ!! お風呂も入ったし美味しい桃も食べ終わったし。あとは寝るだけ……と言いたいところだが? 今日はお姉さん楽しいイベントを用意しちゃったぞ?」



 //SE 電気を消す音



 暗闇の室内に突然現れる火



 「ふふっ、どう? びっくりしちゃった? これはねぇ、蜜蠟みつろうで作ったアロマキャンドルだよ?」



 「綺麗なローソクでしょ? ニホンミツバチさんから分泌される蜜蝋を固めて作った自家製のローソクだよ? 海外じゃ結構人気で高級品なんだからぁ!」



 「じゃあローソクをテーブルに置いて……」



 「これでよしっ。じゃあ始めよっか」



 「何をって、怪談話大会だよぉ♪ 夏と言ったらやっぱ怪談話大会じゃあないかぁ」



 「え? 2人しかいないって? 細かいことはいいんだよ。で、どっちからする? 怖い話♪」



 「ん? 思いつかない? ……じゃあ、あたしからするからその間に考えといてね」



 「では始めます。……これはあたしが去年養蜂場でニホンミツバチさんたちのお世話をしてた時の話なんだけどね?」



 「ちょうど午後3時くらいだったかなぁ。ニホンミツバチさん達も巣箱に帰ってきてあたしも花のお世話に行こうとしてたの」



 「そしたらね? 何か大きな羽音が聞こえてきて……振り返ったらなんとそこに……オオスズメバチが来てたの!!」



 「いやぁあああああああああああああああ!!」



 「ん? ……そうそう、さっきいたあの憎きニホンミツバチさん達の天敵だよ! でも、オオスズメバチが来ること自体はそんなに珍しいことってわけでもなかったからあたしもいつも通りにそのオオスズメバチを追い払おうとしたのね?」



 「そしたら何とその周りにあっという間にオオスズメバチが10匹くらい集まってきちゃってさぁ!! もう~~~、不気味な羽音を立てるわ、ニホンミツバチさん達の巣を狙っているわでもうあたしパニックになっちゃってぇ」



 「その後、一時間程度あたしの養蜂場は戦場と化したのでした」



 「どう? 怖かったっしょ??」



 「え? 怖くない!? 嘘でしょ!? あたしすっごく怖かったんですけど!!」



 「だ、だってさぁ! 普通なら1,2匹で偵察に来るのに、気がついたら10匹以上が集まって来ててびっくりしたんだから」



 「え? その後? その後はもうオオスズメバチたちとの戦争よ! ニホンミツバチさん達の巣に近寄るオオスズメバチを駆除して。仲間が来ないようにオオスズメバチが出すフェロモンを消して消して……。いやぁ、怖かったなぁ……」



 「な~~によ、その反応……。オオスズメバチは怖いんだぞ? 集団で来られたらニホンミツバチさん達の群が全滅しちゃうことだってあるんだから!」



 「もうっ!! あたしの怖い話は終わり。さっ、次はキミの番だよ? ふふ、どんな怖い話かなぁ?」






 ♦ ♦ ♦






 「ひ、ひやぁあ!!」



 //SE 恐怖で抱きつく音



 「も、もう!! な、何でそんな怖い話すんのよぉ、ばかぁ!!」 /呼吸を乱して



 「急に抱きつかないでって言われても……」



 「だ、だってさぁ……。こ、怖かったんだもん……」



 //SE ゆっくりと寄せた身体を離す音



 「あぁ~~!! あたしのことバカにしたでしょ!?」



 「もう~~、もうもう!! こんな話聞いちゃったら怖くて今日トイレ行けないじゃん!!」



 「それがどうしたって……夜にトイレ行けなかったら困るでしょ!?」



 「まったく……。お姉さん今日は怖くって眠れなくなっちゃったぞ? ……ということで責任とって♪」



 「決まってるじゃん。今日は朝まであたしが撮影したニホンミツバチさん達の可愛い映像の鑑賞会だぁああああ!! 家中の明かりを全部つけてね♪」



 「あっ、こらぁ!! に~~げ~~るなぁああ!!」


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