第21話 ハッピーエンド
世界中から集まった解呪や呪いの魔導書や研究書は千冊を超えた。
僕は寝る間も惜しんでそれを読み続ける。
五百冊を、超える頃には解呪が中級になっていて、千冊を超えると解呪は上級へと変わっていた。が、呪いを解くことはできなかった。
「なぜだよ!なんでこんな呪いをかけたんだ!」
「落ち着いて、そんな弱気にならないで」
「そうだぞ?ケントは頑張ってるわよ」
「その渡り人のスキルが強すぎるのじゃ」
みんなから励まされるが、これじゃあ役に立たない。
「ケント、これを」
「これは日本語?!」
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これを読んでるってことは解呪できなかったみたいだな?俺の呪いは強力だ。
だが一つだけ希望を残しておいた。
お前がどれだけこの世界を救いたいのかで決まる。最後の希望だ。
テポッドの街の時計台にいき、有名な解呪の言葉を使うと扉が開く。
言っておくが一人でやるんだ。
俺は俺をこの地に連れて来やがった神に復讐したいんだからな!
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「わかった、テポッドの街にいってくる」
「私達も、」
「僕一人でやらなきゃダメらしい」
「そんなもんバレやしねぇよ」
「いや、呪いが使えるんだ。それくらいは出来るだろう」
「じゃあ私が行ってくるよ」
「いや、今度こそ僕が、同じ日本人がこの呪いを解く」
テポッドの街は夕方でも賑わっていた。
「ここからは僕一人で行くからね」
「あぁ、待ってるよ」
「頑張れ」
「気をつけてくださいね」
「待ってるのじゃ」
馬鹿らしい呪文だが、これしかないよな?
「開けごま」
時計台の下が開いて行く。中に入るとカビ臭い匂いがする。ライトをつける。
一体の骸骨が、椅子に座っていた。
本が握られていたようで太腿のところに落ちている。
それを拾うと骸骨は崩れ去った。
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ついてねぇ、俺はなぜこんなところに居るんだ?言葉はわかるがなんてスキルだよ。
呪いなんてスキルをどう使えって言うんだ?俺をここによこしたやつに行ってやりたいよ!俺は誰も呪いたくねぇ!強いて言えば神を呪う。
ここに来たってことは解呪だな?
これを読んだ時点で解呪完了だ。
良かったな!この世界は再び人間で溢れかえるんだよ。
俺は神を呪えればよかっただけだからな。
じゃあな、楽しい異世界生活を送れよ。
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解呪は済んだ。
だがこれじゃあバッドエンドだよ。
何故あなたは呪いを使ったんだ?
使わなくてもそれなりに生きていけただろう?
神に一矢報いたかったのかな?
僕は貴方の生き方を否定しない。
僕だって呪いがスキルだったら神を恨むだろう。
でも貴方は最後に僕に希望をくれた。
「ありがとうございます。安らかに眠って下さい」
僕が出ると扉は勝手に閉まった。
「さぁ、これで呪いは解けたよ」
「本当か?」
「じゃあ男の子も」
「生まれてくる」
「救われたのじゃな」
「この世界はね」
そうこの世界は救われた。
今いる男達には頑張ってもらわないといけないけどね。
「コラ待つのじゃ」
「だぁーー」
シエスタは息子のタスケのオムツ交換に四苦八苦している。
フレイヤとミーシャはギルドを産休で休んでいる。お腹もおっきくなってリビングで笑っている。
シアは長男のケシアと外を散歩中だ。
結局、四人とも結婚して子どもまで作って幸せな家庭を築くことができた。
僕はハッピーエンド?まだまだ続く生ある限りどっちに転ぶかわからないけど、ここまではハッピーエンド。
世界は愛に満ちているから。
男の少ない世界〜僕のスキルは速読でした〜 あに @sanzo
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