第19話 呪い


 帰りに鍛冶屋に寄ってエアコンの外側を受け取る。

 書斎に入るとシエスタも入ってくる。

「見てても面白くないよ?」

「いいのじゃ」

 付与をしていき、アイテムボックスにいれる。ミーシャの部屋にエアコンを取り付けて完了。

「ね?」

「凄いのじゃ、こうやって作っていたのじゃな」

「あはは、ありがとう」

 素直に褒めてもらえると恥ずかしくなる。

 また書斎に戻り、今度はドライヤーを作る。温風と冷風が出る様に火魔法、風魔法、氷魔法を付与して錬金術で調整していく。

「今度はなんじゃ?」

 ちゃんと終わってから聞いてくるシエスタにドライヤーを説明した。

「なんと、これがあれば団扇で乾かさなくてもいいのか!」

 メイドに乾かさせていたらしい。


「早く乾けばその分傷むことも少ないだろうしね」

「それはいいのじゃ!我が夫は凄いのぉ」

 もう夫になってる?

「あはは、そんなに褒めないでよ」

「そんなことないのじゃ、褒めるのじゃ」

 フンスと息を荒げ褒めてくるシエスタは可愛くてしかたない。


「じゃあ次は王立図書館にでも行こうか?」

「図書館?何しにいくのじゃ?」

「僕は速読と言うスキルを持ってて、それでスキルを増やせるんだよ」

「な、なんと!そんな秘密を話しちゃダメじゃろ!」

「みんなしってるから、シエスタだけ知らないのもね」

「そ、そうなのか?」

「うん、だからこれから行ってみようか」

「わかったのじゃ」


 シエスタと二人で王立図書館に行くとシアが迎えてくれた。

「あら?二人で図書館ですか?」

「そう、僕のスキルを教えたくてね」

「あ、そうですね」

 今日は料理の本を中心に読んでいく。

 スキルにはなったが、まだ料理は奥が深くて沢山の本を読んだ。

「そんなパラパラとめくって読んでいるのか?」

「それが僕の速読なんだよ」

 不思議で仕方ない様な顔をするシエスタ。


「これで今日から僕も料理が出来るかな?」

「本当にか?うそじゃないのじゃな?」

「うーん、練習は必要だろうけどね」

「ほぇー、凄いもんじゃのぉ」

 何か作ってみるかな?プリンとか好きなんだよね。


 材料買ってきてキッチンで作ってみる。

「あとは冷蔵庫で冷やして完成だよ」

「あれはお菓子じゃな!砂糖を使っておったし!」

「そうだよ、みんなが帰ってきてからだね」

「そうか!待ち遠しいのぉ」


「あははは」

「帰ってきたのじゃ!」

 外からの声でフレイヤ達が帰ってきた事がわかった。

「おかえりなのじゃ!」

「お、おう、ただいま」

「ただいまシエスタ」

 フレイヤとミーシャが驚いていた。

 後はシアだけだな。

「ただいま戻りました」

「おかえりなのじゃ!待ってたのじゃ」

 みんなで晩飯前なのにリビングでプリンの試食会だ。


「ぷ、プルプルで甘くて蕩けるのじゃ」

「美味しい!」

「これケントが作ったの?」

「凄いです、美味しいし新しい」

 四人とも気に入った様だ。

「僕の世界の食べ物でプリンってデザートなんだ」

「凄いのぉ、美味しいのぉ」

 一番気に入ってるのはシエスタだな。


 晩飯も終わり、風呂に入ってきたみんなにドライヤーを使って見せる。

「おぉ、サラサラになった!」

「これは必要なものですね」

「妾の髪もサラサラになったのじゃ」

「こんなの使ったら戻れないわよ」

 みんなからは好評でドライヤーも量産決定だな。


 翌日は朝から鍛冶屋へ、昨日の注文の品を受け取るとドライヤーを渡して、三十セット注文しておく。

「まいどありがとね」

「よろしくお願いします」

 そして王立図書館へ、

「シア、なんかいいのあった?」

「これ、読めないんだけどもしかしたらケントならと思って」

 そこに書かれていたのは日本語であった。

 パラパラとめくっていくととんでもない事が書いてあった。

 この世界の人口が減少している原因は呪い。しかもこいつ男女比を逆転させている。

 何故こんなことをしたのかと思い読み進めると、自分の欲のためだった。


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 私は渡り人と呼ばれる存在。

 スキルは呪いだ。

 なにが異世界転生だ、女にモテるどころか生きて行くのもやっとの世界だ。

 俺は呪った、この世界の全てを。

 程なくして男が生まれにくい環境になってきた。まだこいつらは気がついていない。

 俺は見届ける事ができないだろう。

 だが、この世界を潰してやる。

 俺が受けた屈辱を俺がはらして見せよう。

 何年かかったとしても。

 呪いにかかったこの世界はもう終わりだ。

 人口は減り続ける。女しか生まれないんだからな。

 これを読んでる君はどっちだ?

 まぁ、いい、バッドエンドは決まってる。

 この世界は終わりに向かっている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ふざけるなよ。

 自分勝手なことをしやがって、何が呪いだ!そんなこと僕が許さない!


 僕はバッドエンドが嫌いなんだ。

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